介護の精神と社会

介護という人々を支える仕事について精神面や法制度などを交え 解説しています。

老人福祉制度とは

      2015/11/07


現代の高齢者福祉は介護保険制度によって社会的に介護が必要になった高齢者を支えていく動きとなっています。
介護保険制度は平成12年の4月に施行された制度です。

それに対し、戦後の日本では老人福祉制度と呼ばれる制度によって、高齢者福祉が支えられてきました。

老人福祉制度は介護保険制度の前身となる制度で、老人福祉制度を知る事によって介護保険制度をより深く理解し、なぜ現代のかたちになったのか?という事について深く理解する事が出来ます。

では、介護保険制度の前身となる老人福祉制度とはなんなのでしょうか?
また、老人福祉制度の特徴はなんなのでしょう。

老人福祉制度とはなにかという事について、まとめましたのでチェックしていってください。

 

 
老人福祉制度

 

 

老人福祉制度とは

老人福祉制度とは
老人福祉制度は介護保険制度施行前の、高齢者福祉の中心となっている制度の一つでした。
在宅福祉サービスや、 老人福祉施設入所などのサービスを、市町村が必要性を判断し、提供していたのです。

 
老人福祉制度は介護保険制度でいう、次のサービスを利用者となる高齢者に提供するのに用いられる制度でした。

  • 訪問介護
  • 通所介護
  • 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム[特養])

 
老人福祉制度は介護保険制度が、利用者本人の意思によって利用するサービスを選択できる「契約」なのに対し、老人福祉制度では市町村が利用するサービスの必要性を判断し提供していました。

 
老人福祉制度の市区町村が利用するサービスの必要性を判断し提供する制度の事を措置制度と言います。
介護保険制度は利用者のスムーズなサービス利用等の観点から、措置制度ではなく、利用者本人がサービスを選択し契約する事が出来ます。

 

 

 

 

措置制度とは

措置制度
措置制度とは、戦後の日本における、高齢者介護や保育、障害者福祉を構築する上で中心となる制度でした。
措置制度が持つ特徴をまとめると次のような特徴を持っています。

  1. 税金を財源とする
  2. 国・自治体が社会福祉サービスを提供する
  3. 主な対象を「低所得者」として利用者負担を応能負担とする
  4. 生活困難に至った人々自身に行政が保護介入する仕組みを基本にしている

 
戦後の日本の高齢者介護や保育、障害者福祉を構築する上で中心となっていた措置制度ですが、現代では何故廃止されたのでしょうか?
措置制度が廃止された背景としては現代の日本の流れにそぐわなくなってきた現状があったのです。

 
措置制度が廃止されたポイントをあげると次の通りとなります。

  • 税金を財源とする事
  • 国・自治体が社会福祉サービスを提供した事
  • 主な対象を「低所得者」とした事
  • 生活困難に至った人々自身に行政が保護介入する仕組みを基本にしている事

 
1970年代半ば以降の低成長経済(バブル崩壊)で財源が脆弱化した事により、税金をもとにした社会福祉は財源的な地盤が揺らぐこととなりました。

 
措置制度はもとより財源を税金に頼っていたため、税金を財源とした制度そのものがサービス提供においてさまざまな不都合が起こる原因となる事が懸念されました。

 
措置制度が廃止された理由としては税金を財源とする事の、今後の日本の将来不安があったと言えます。

 
昨今の少子高齢化に伴って「国・自治体が社会福祉サービスを提供する」ではそれぞれの個人や社会的ニーズにこたえられなくなってきました。

 
特に高齢化社会となった日本では介護を利用する人の割合が増加する事となり、より個人のニーズに目を向け始めた日本にとって個人のニーズを満たしていく為には株式会社や一般企業が福祉の分野に参画する必要があったのです。

 
措置制度が廃止された理由としては、国・自治体だけでは年々増加する社会福祉へのニーズに耐え切れない実態があったのです。

 
措置制度が廃止された理由として、措置制度のおもな対象を低所得者としたことにあります。
社会福祉は本来、必要な人に提供されるサービスであって、いちじるしく高額な所得者でない限りは、社会的セーフティネットとして機能するべきものです。(いちじるしく高所得である場合は、所得の範疇で生活の支援を受ける事が出来るとの考えもあります)

 
また、バブル崩壊後の日本では社会の産業化・家族機能の外部化に伴って、中高所得層の人も福祉サービスを利用したいとの声が世間的に増加したこともあり、日本の時代の流れに沿った制度ではないとの事が理由で廃止されました。

 
1990年代後半からは利用者等から、措置制度そのものに対する問題が指摘されるようになってきました。
主な指摘事項としては次のような物があります。

  • 行政が必要と認めなければサービスが利用できず、権利保障が不十分である
  • 行政が利用すべきサービスの種類や事業者を決めるため、利用者自身がサービスを選択できない
  • 利用にあたって所得調査行われ、サービスの費用が税金で賄われるため、心理的負担が大きい
  • サービス内容に良質な物が少なく、質を高めるような競争原理がない
  • 中高所得者にとっては利用料が著しく大きくなる

 
措置制度は現代の日本の生活において、利用するには現実不可能であるとして措置制度そのものを見直す必要がありました。
措置制度の見直しを行う中で介護保険制度が平成12年4月に施行されることとなりました。

 
現実離れしていると言われていた措置制度は見直され、現代の介護保険制度の設立の際には次のような特徴を持つこととなりました。

 

  • 利用者自身が申請して制度を利用する
  • 利用するサービスは自分で選んで契約する
  • サービスの必要性は心身の状態から客観的に判断する
  • 原則、所得調査は行われない。自分の支払った保険料を元手としているため、利用にあたる心理的抵抗がすくない
  • 様々なサービス事業者が参入する事で、競争による質の向上がはたらく
  • 中高所得者にとっては利用料が抑えられる

老人福祉制度は、ここで紹介した措置制度を基礎として作られている制度だったのです。
措置制度とは何かという事については「措置制度とは」で詳しく紹介していますので、チェックしていってください。

 

 

 

 

老人福祉制度の特徴

老人福祉制度の特徴
措置制度を基礎としていた老人福祉制度の特徴については次の通りです。

  • 実施方式:行政の責任による措置制度
  • 実施主体:国、自治体、社会福祉法人を中心としている
  • 財源:税金
  • 利用者負担:応能負担(所得によって変わる負担)

 
老人福祉制度は措置制度を基礎としているため、”低所得”の方向けの制度でした。
それにより「低所得の方には使いやすい」特徴がある反面「中高所得者にとっては負担が大きい」制度となっていました。

 
また、このような状況から「老人福祉制度」を利用する人は「低所得者だ」という世間的な目線が入る為、制度の利用についても心理的な抵抗を感じる人もいました。

 
利用時には行政の責任の元、所得調査が入るため、調査に対する嫌悪感を感じる人もいらっしゃったそうです。

 
法律上では「権利は平等」とうたっていますが、制度を低所得者を対象に絞ってしまったため「平等の権利」としての機能を果たさなかった事が老人福祉制度で問題視されていました。

 
老人福祉制度が持つさまざまな課題や、利用者の声などを加味し、制度改正をもとに考案されたのが現代の「介護保険制度」です。

 

 

 

 

老人福祉制度と高齢者を支えた老人保健制度とは

老人保健制度とは
戦後の日本に生きる高齢者を支えた制度には老人福祉制度のほかに、老人保健制度がありました。
老人保健制度は戦後の日本における、介護保険制度が制定されるまで、高齢者介護の内の医療に関係するサービスを展開する上で中心となっていた制度です。

老人保健制度は、医療保険制度とも呼ばれ、介護保険制度で提供されている次のようなサービスを展開するために使われていました。

  • 訪問看護
  • 介護老人保健施設

老人保健制度と共に高齢者を支えた制度に老人福祉制度があります。

 
老人福祉制度は介護保険制度施行前の、高齢者福祉の中心となっている制度の一つでした。
在宅福祉サービスや、 老人福祉施設入所などのサービスを、市町村が必要性を判断し、提供していたのです。

 
老人保健制度が持つ特徴をまとめると次のような特徴を持った制度でした。

 

  • 実施方式:社会保険による利用契約制度
  • 実施主体:医療法人を主体
  • 財源:保険料+公費(税金)
  • 利用者負担:応益負担

 
老人保健制度が廃止された理由をまとめると次のような理由がありました。

  • 老人福祉制度と同様の介護が必要な高齢者へのサービスにもかかわらず、別の制度となっているため分かりずらい
  • 医療制度(老人保健)制度により整備された老人病院では社会的入院を余儀なくされていた

 
制度が複雑でわかりにくく利用する事が難しかった事や、社会的入院や医療の財源不足、人手不足の問題を加味し、老人保険制度を廃止し平成12年に介護保険制度が施行されたのです。

 
老人保険制度とはどんな制度だったのかという事については「老人保健制度とは」で詳しく紹介していますのでチェックしていってください。

 

 

 

 

老人福祉制度とは まとめ

老人福祉制度とは まとめ
老人福祉制度は介護保険制度施行前の、高齢者福祉の中心となっている制度の一つでした。
在宅福祉サービスや、 老人福祉施設入所などのサービスを、市町村が必要性を判断し、提供していたのです。

老人福祉制度の市区町村が利用するサービスの必要性を判断し提供する制度の事を措置制度と言います。
介護保険制度は利用者のスムーズなサービス利用等の観点から、措置制度ではなく、利用者本人がサービスを選択し契約する事が出来ます。

措置制度とは、戦後の日本における、高齢者介護や保育、障害者福祉を構築する上で中心となる制度でした。
措置制度が持つ特徴をまとめると次のような特徴を持っています。

  1. 税金を財源とする
  2. 国・自治体が社会福祉サービスを提供する
  3. 主な対象を「低所得者」として利用者負担を応能負担とする
  4. 生活困難に至った人々自身に行政が保護介入する仕組みを基本にしている

老人福祉制度は、ここで紹介した措置制度を基礎として作られている制度だったのです。

措置制度を基礎としていた老人福祉制度の特徴については次の通りです。

  • 実施方式:行政の責任による措置制度
  • 実施主体:国、自治体、社会福祉法人を中心としている
  • 財源:税金
  • 利用者負担:応能負担(所得によって変わる負担)

法律上では「権利は平等」とうたっていますが、制度を低所得者を対象に絞ってしまったため「平等の権利」としての機能を果たさなかった事が老人福祉制度で問題視されていました。

老人福祉制度が持つさまざまな課題や、利用者の声などを加味し、制度改正をもとに考案されたのが現代の「介護保険制度」です。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

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