介護の精神と社会

介護という人々を支える仕事について精神面や法制度などを交え 解説しています。

身体拘束禁止について 具体的に禁止されている内容

      2015/11/07


身体拘束は、命に関わる事件に発展するなど身体拘束に対して厳しい目があります。
介護施設としては現実的に身体拘束を廃止する事が出来ず、身体拘束に頼った介護を続けている施設もあります。

 
しかし、身体拘束は介護保険制度を導入するタイミングで全面的に身体拘束が禁止されることとなりました。
身体拘束禁止に伴って、身体拘束廃止に踏み切る介護施設も増えてきました。

 
では、そもそも身体拘束とはなんなのでしょうか?身体拘束として禁止されている行為とは具体的にどんなことなのでしょう。
また、身体拘束に頼らない介護をするには何か必要か、身体拘束を廃止するにはどんなチェックポイントがあるのか。

 
身体拘束禁止についてまとめましたのでチェックしていってください。

 

 
身体拘束禁止

 

 

身体拘束とは

身体拘束とは
身体拘束というのは、施設や病院などで、高齢者を、「治療の妨げになる行動がある」、や「事故の危険性がある」という理由で、ひもや抑制帯、ミトンなどの道具を使用して、ベッドや車椅子に縛ったりすることをいいます。

では、具体的に身体拘束はどんな事が該当するのでしょうか?

 
身体拘束として扱われる行為について厚生労働省は次の通りまとめています。

  • 歩き回らないようにベットや車椅子に胴や手足をひもなどで縛り、歩けなくする。
  • ベットなどから転落しないようにベットに胴や手足をひもなどで縛り、動けなくする
  • ベットの周囲を柵などで完全に囲んだり、高い柵を使用するなどして自分では降りられないようにする。
  • 点滴や、鼻やおなかなどにつける栄養補給のチューブなど治療のための器材を自分で抜かないように、手足を縛ってしまう。
  • 点滴や、鼻やおなかなどにつける栄養補給のチューブなど治療のための器材を自分で抜かないように、あるいは皮膚をかきむしらないように、指を思うように動かせなくするミトン型の手袋などを使う。
  • 車椅子やいすなどからずり落ちたり、立ち上がったりしないように、Y字型の専用ベルト、腰ベルト(紐)などで車椅子・椅子に縛りつけたり、胴にぴったりと密着するテーブルをつけて立ち上がれないようにしてしまう。
  • 立ち上がる能力のある人を、座面を大きく傾かせたりする椅子に座らせるなどして立ち上れないようにする。
  • 服を自分で脱いでしまったり、おむつをはずしたりしてしまう人に、介護衣(つなぎ)とよばれるような、自分では脱ぎ着ができない特殊な服を着させる。
  • 他の人に迷惑をかけないように、ベットなどに胴や手足をひもなどで縛る。
  • 興奮したり、穏やかでなくなったりした人を落ち着かせるために、鎮静させる効果がある精神に作用する薬(向精神薬)を過剰に使って動けないようにしてしまう。
  • 鍵をかけるなどして自分では空けられないような部屋に閉じこめる。

身体拘束は行われてはいけないものとして扱われている事は既にご存知のことだとは思いますが、本当にやむおえない場合については身体拘束が行われる事が認可されます。

 
厚生労働省は身体拘束の緊急、やむおえない場合の定義として次のような規定を設けています。

  • 「切迫性」「非代替性」「一時性」の3つの要件を満たす事
  • 上記の3つの要件を慎重に確認・実施されている場合に限る

 
身体拘束を行われる事が認められる基準は、命の危険が迫る緊急事態であり、身体拘束以外に取るべき手段がなく、拘束を行う期間も一時的なものである必要性があります。

 
また、それらの要件を適正に判断、管理されているという事が認可の基準という事になります。

 
身体拘束をしてはいけないという理由については次のような物があげられます。

  • 身体拘束が原因で命を落とす事がある
  • 拘束が拘束を呼ぶ悪循環となりやすい
  • 身体拘束をしないから事故が増えるわけではない
  • 身体拘束は拘束される本人の精神的な負担が大きい

身体拘束とは何かという事については「身体拘束とは」で詳しく紹介していますのでチェックしてい行ってください。
 

 

 

 

身体拘束禁止について

身体拘束禁止について
身体拘束は生命の危険のある、やむおえない場合に、一時的な対処として用いられるべき最後の手段であり、日常的に持ちいられるべき手法ではありません。

国としても介護保険制度の導入のタイミングで身体拘束を原則禁止するよう動きはじめました。

 
身体拘束を行わない介護を利用者に提供するには、生活環境や介護の手法の検討など、さまざまな工夫が必要となってきます。

 
今までの介護は身体拘束が介護の手法の一つとしてとらえられてきた現実があります。
しかし、国として、全面的に身体拘束を原則禁止するようになった今は利用者がなぜそのような行動をするかという事に目を向け、利用者一人ひとりに対して個別に対応をする事が求められています。

 
特に介護の現場では、今まで認知症の方に対する理解が乏しかった経緯もあった為、身体拘束を余儀なくされていましたが、今後は認知症という病に対する理解と、一人ひとりの介護技術の向上が必要となってきます。

 
身体拘束をしない介護は、利用者の人権の面や尊厳、生活の質(QOL)の面からもとても重要な事なのです。

 

 

 

 

身体拘束として禁止されている内容

身体拘束として禁止されている内容
身体拘束として具体的に禁止されている内容について見ていきましょう。
身体拘束として禁止されている内容は厚生労働省が発行している「身体拘束ゼロへの手引き」(2001年)に記載されています。

冒頭の「身体拘束とは」で紹介した文章は厚生労働省の発案した身体拘束ゼロの手引きの内容をを、より理解しやすい形に言葉を変えた物になります。

 

  1. 徘徊しないように、車いすやいす、ベッドに体幹や四肢を紐等で縛る。
  2. 転落しないように、ベッドに体幹や四肢をひもなどで縛る
  3. 自分で降りられないように、ベッドを柵(サイドレール)で囲む
  4. 点滴、経管栄養等のチューブを抜かないようにし、四肢をひも等で縛る
  5. 点滴、警官栄養などのチューブを抜かないように、または皮膚をかきむしらないように、手指の機能を制限するミトン型の手袋などを付ける
  6. 車椅子やいすからずり落ちたり、立ち上がったりしないように、Y字型抑制帯や腰ベルト、車いすテーブルを付ける
  7. 立ち上がる能力のある人の立ち上がりを妨げるような椅子を使用する
  8. 脱衣やおむつ外しを制限するために、介護衣(つなぎ服)を着せる
  9. 他人への迷惑行為を防ぐために、ベッドなどに体幹や四肢を紐等で縛る
  10. 行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる
  11. 自分の意志で開ける事の出来ない居室などに隔離する

 
身体拘束禁止としての基本的な考え方は「利用者の行動の意思を抑圧・抑制する」事や「利用者の行動の意思を薬などを用いて意図的に操作する」事です。

 
利用者の行動の意思を抑圧・抑制したり、行動の意思を薬などを用いて意図的に操作する事は、個人の自由を奪う行為として、禁止されている内容となります。

 

 

 

 

身体拘束禁止について 事前の検討が大事

身体拘束禁止について 事前の検討が大事
身体拘束の禁止事項を見てみると、禁止されているような状況に陥った時にどのような対処方法が考えられるかという事を予め決めておく事が重要です。
もちろん身体拘束禁止について個々の介護職員が意識を高く日常のなかで取り組んでいく事も重要です。

 
しかし、介護職員として働く以上、、一人の力では乗り切れない状況もあるでしょう。
身体拘束で禁止されているような内容を予め予測し、組織のなかで体制を組むことで、身体拘束を行わずともスムーズに対応できる事が重要です。

 
また、身体拘束は組織のトップの意向が反映されやすい現状もあるため、委員会を発足して身体拘束に対してより深い検討を進める事が出来るような体制づくりも重要です。

 
身体拘束禁止の事項を見る限り、主に認知症を「認知症」を軸にした身体拘束禁止の内容となっている事がわかります。
身体拘束禁止の動きを円滑に進めるには介護職員としては認知症への深い理解と経験・介護職員同士の円滑な情報交換が必要となるのです。

 
介護職は生活の支援者としての役割を持っている事もあり、生活の支援を拘束に頼った介護というのは大義とのギャップがあり、そのギャップに耐えられず離職する人も居るます。

 
身体拘束に頼らない介護を実現する為にも、利用者の持つ認知症について深い理解を知る事が身体拘束を行わない介護を行う上での突破口になっていくでしょう。

 

 

 

 

身体拘束廃止のチェックポイント

身体拘束廃止に向けたチェックポイント
身体拘束禁止に伴い、身体拘束を今まで行ってきた介護施設では身体拘束を廃止しようとする動きがあります。
身体拘束というのは、施設や病院などで、高齢者を、「治療の妨げになる行動がある」、や「事故の危険性がある」という理由で、ひもや抑制帯、ミトンなどの道具を使用して、ベッドや車椅子に縛ったりすることをいいます。

身体拘束廃止においては身体拘束廃止に向けたチェックポイントを確認する事によって、効果的に身体拘束を廃止出来るようにするべきでしょう。
身体拘束廃止についてのチェックポイントは次のような物があります。

  • 「身体拘束廃止」をトップが決意し責任を持って取り組んでいるか。
  • 「縛らない暮らしと介護」の推進チームを作るなど体制作りをしているか。
  • 各職種の責任者がプロ意識を持ってチームを引っ張り、具体的な行動をとっているか。
  • 「身体拘束とは何か」が明確になっており職員全員がそれを言えるか。
  • 「なぜ身体拘束がいけないか」の理由を職員全員が言えるか。
  • 身体拘束によるダメージ、非人間性を職員が実感しているか。
  • 個々の拘束に関して、業務上の理由か利用者側の必要性かについて検討しているか。
  • 全職員が介護の工夫で拘束を招く状況(転びやすさ、おむつはずし等)をなくそうとしているか。
  • 最新の知識と技術を職員が学ぶ機会を設け積極的に取り入れているか。
  • 利用者のシグナルに気付く観察技術を高めていく取り組みを行っているか。
  • 各職員が介護の工夫に取り組み、職種をこえて活発に話し合っているか。
  • 決まった方針や介護内容を介護計画として文書化し、それを指針に全員で取り組んでいるか。
  • 必要な用具(体にあった車椅子、マット等)を取り入れ、個々の利用者に活用しているか。
  • 見守りや、利用者と関わる時間を増やすために業務の見直しを常に行っているか。
  • 見守りや、利用者との関わりを行いやすくするために環境の点検と見直しを行っているか。
  • 「事故」についての考え方や対応のルールを明確にしているか。
  • 家族に対して拘束廃止の必要性と可能性を説明した上で、協力関係を築いているか。
  • 拘束廃止の成功体験(職員の努力)を評価し、成功事例と課題を明らかにしているか。

 
身体拘束は生命の危険があり、やむおえない場合に一時的な対処として用いられるべき行為であり、日常的に使用されるべき行為ではありません。

 
身体拘束は利用者の自由を、他人が奪う行為であり、日常的に身体拘束が行われているような現場では介護職員が利用者を人として見る事が出来なくなる危険もあります。

身体拘束によって短期的・長期的に身体拘束が行われた場合、次のような弊害が起こります。

  • 活動的な生活が出来ない事によるBPSDの発症
  • 活動を行う事が出来ない事によって起こる身体機能の低下
  • 継続的に同じ姿勢を保つ事による血流障害
  • 心理的な負担が続く事による精神疾患の発症
  • 意欲低下等の誘発による廃用症候群の発症
  • 感情的・行動的に不安定な状態になる

 
身体拘束は直接的な体の拘束なのに対し、精神的な拘束にはスピーチロックという物があります。
スピーチロックとは身体拘束とは異なり「言葉による拘束」(speech lock)のことです。

 
言葉によって利用者の行動を抑制し、制限したりする介護者の「言葉による対応」を指します。

 
身体拘束や、精神的な拘束であるスピーチロック等を使う事によって、利用者は健康面でのリスクや精神的なダメージを負う事になります。
拘束者となる介護職員も精神はすさみ、人を人として見る事が難しくなり、精神疾患に発展する事さえあります。

 
拘束の無い介護は利用者と笑い合って日常生活を営む事が出来、笑う事もあれば怒る事もある、何げない普通の事を行う事が出来る介護となってきます。
結果として介護職員としても楽な介護を生む状況を拘束を廃止する事によって作り出す事が出来るのです。

 
介護職員・利用者がお互いに安心して生活できる介護が楽な介護という事です。

 
身体拘束のチェックポイントや考え方を用いて、身体拘束を廃止する事が介護の現場で良い結果を作る事に繋がっていくでしょう。
身体拘束廃止のチェックポイントについては「身体拘束廃止のチェックポイント」で詳しく紹介していますので、チェックしていってください。

 

 

 

 

身体拘束禁止について 具体的に禁止されている内容 まとめ

身体拘束というのは、施設や病院などで、高齢者を、「治療の妨げになる行動がある」、や「事故の危険性がある」という理由で、ひもや抑制帯、ミトンなどの道具を使用して、ベッドや車椅子に縛ったりすることをいいます。

 
身体拘束は生命の危険のある、やむおえない場合に、一時的な対処として用いられるべき最後の手段であり、日常的に持ちいられるべき手法ではありません。

 
国としても介護保険制度の導入のタイミングで身体拘束を原則禁止するよう動きはじめました。

 
身体拘束として具体的に禁止されている内容について見ていきましょう。
身体拘束として禁止されている内容は厚生労働省が発行している「身体拘束ゼロへの手引き」(2001年)に記載されています。

 

  1. 徘徊しないように、車いすやいす、ベッドに体幹や四肢を紐等で縛る。
  2. 転落しないように、ベッドに体幹や四肢をひもなどで縛る
  3. 自分で降りられないように、ベッドを柵(サイドレール)で囲む
  4. 点滴、経管栄養等のチューブを抜かないようにし、四肢をひも等で縛る
  5. 点滴、警官栄養などのチューブを抜かないように、または皮膚をかきむしらないように、手指の機能を制限するミトン型の手袋などを付ける
  6. 車椅子やいすからずり落ちたり、立ち上がったりしないように、Y字型抑制帯や腰ベルト、車いすテーブルを付ける
  7. 立ち上がる能力のある人の立ち上がりを妨げるような椅子を使用する
  8. 脱衣やおむつ外しを制限するために、介護衣(つなぎ服)を着せる
  9. 他人への迷惑行為を防ぐために、ベッドなどに体幹や四肢を紐等で縛る
  10. 行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる
  11. 自分の意志で開ける事の出来ない居室などに隔離する

 
身体拘束禁止としての基本的な考え方は「利用者の行動の意思を抑圧・抑制する」事や「利用者の行動の意思を薬などを用いて意図的に操作する」事です。

 
身体拘束の禁止事項を見てみると、禁止されているような状況に陥った時にどのような対処方法が考えられるかという事を予め決めておく事が重要です。
もちろん身体拘束禁止について個々の介護職員が意識を高く日常のなかで取り組んでいく事も重要です。

 
しかし、介護職員として働く以上、、一人の力では乗り切れない状況もあるでしょう。
身体拘束で禁止されているような内容を予め予測し、組織のなかで体制を組むことで、身体拘束を行わずともスムーズに対応できる事が重要です。

 
身体拘束禁止の事項を見る限り、主に認知症を「認知症」を軸にした身体拘束禁止の内容となっている事がわかります。

 
身体拘束に頼らない介護を実現する為にも、利用者の持つ認知症について深い理解を知る事が身体拘束を行わない介護を行う上での突破口になっていくでしょう。
身体拘束禁止に伴い、身体拘束を今まで行ってきた介護施設では身体拘束を廃止しようとする動きがあります。

 
身体拘束というのは、施設や病院などで、高齢者を、「治療の妨げになる行動がある」、や「事故の危険性がある」という理由で、ひもや抑制帯、ミトンなどの道具を使用して、ベッドや車椅子に縛ったりすることをいいます。

 
身体拘束廃止においては身体拘束廃止に向けたチェックポイントを確認する事によって、効果的に身体拘束を廃止出来るようにするべきでしょう。

 

 
最後までお読みいただきありがとうございました。

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