介護の精神と社会

介護という人々を支える仕事について精神面や法制度などを交え 解説しています。

これからの介護は心の介護

      2015/11/07


団塊の世代がみんな揃って高齢者の仲間となってくる時代となってきました。

今まで高齢化社会と言われてきた日本に、超高齢化社会の波が訪れています。
2015年の高齢者の総人口に占める割合は26.0%に上るとも言われています。

もはや高齢者は社会の少数派ではありません。

日本の介護技術はとても高い物と海外でも評価されていますが、それでもまだまだ人材不足などを皮切りに、介護の分野で不足している事が多いのです。
しかし、人材不足を理由に介護技術を落とす事はあってはならない事なのです。

そして、これからの日本の介護は「こころの介護」が特に重要になってくると言われています。
この記事では「これからの介護は心の介護」という事について述べていきたいと思います。

 

 
これからの介護は心の介護
 

 

現代の高齢者はとても個性的である

現代の高齢者はとても個性的である
これから高齢者となる人たちの事を考えてみましょう。
ビートルズを聴いて、VANやHUNのジーンズをはいて青春時代を過ごした段階の世代を中心に、自分の生き方をはっきりと主張し、個性的に生きる人が増えていくでしょう。

 
このような高齢者は

  • 社会に役立ちながら人生を楽しみたい
  • 自分の力で出来るだけ長く生きたい
  • 自分の力だけで生きていくのが難しくなっても、出来れば子供の世話になりたくない

 
例えばこのような事を願っています。

 
その様な高齢者の願いに、子供や家族、社会がどのように応えていくかが、これからの大きな課題となってきます。
高齢者が自分の力だけで生きていくのが難しくなった時、子供や家族、社会がどのように介護・介助をすれば、満足のいく人生を全うしてもらえるのでしょうか。

 

 

 

 

現代の高齢者に社会が出来る事とは

現代の高齢者に社会が出来る事とは
社会的な面でいえば、日本の現在の介護保険サービスでは、到底そのニーズにはこたえる事が出来ません。
最近になって尊厳に注目されるようになってきましたが、身体機能の改善を重視した今までの介護は根強く残っています。

 
身体機能が改善され、寝たきりの高齢者が減少したというだけでは現代の日本の超高齢社会ではダメなのです。
身体機能で効果が表れても、それだけでは、人間はイキイキと生きていく事はできません。

 
「生きている満足感」に繋がる何かが必ず必要となってきます。

 
「生きている満足感」について考えてみると、それは「こころの充実」なのではないでしょうか?
これからの日本の社会や家庭での介護にもとめっれる物は「こころの充実」にフォーカスを置いた介護だと言えます。

 

 

 

 

こころの介護とは

こころの介護とは
ここで言う「こころ」とはすなわち、最近日本で注目を浴びるようになってきた「尊厳」ではないでしょうか。
「尊厳を守る」事はすなわち「一人の人間として対等にみられる」事にあるように思います。

 
「尊厳」という言葉を使うと、いかにも肩肘を張った難しいことのように感じられますが、簡単に言うと「感謝と思いやり」のことです。

 
ただ、その「尊厳」は、介護される高齢者に対する物だけではありません。
「介護する人」の尊厳も、もちろん、守られなければなりません。

 

 

 

 

介護をする人は元気である事に気を付ける

介護をする人は元気である事に気を付ける
介護に疲れ果てて、自分の生活がボロボロになってしまっては、介護をしている人も、また、介護されている人もこころが傷つき、悲しい思いをするでしょう。
お互いに「感謝と思いやり」を持ち、からだも心も「疲れない」、逆に「疲れさせない介護」が必要だと言えます。

 
その考えの一つに「介護が必要な人の残存能力を活用する」という考え方があります。
これは欧州ではずっと前から実践されている手法で、「時間はかかるけれども、出来るだけ自分で出来る事は自分でする、してもらう」という考え方です。

 
このようなケアは「アクティブ・ケア」と呼ばれています。

 

 

 

 

アクティブ・ケアとは

アクティブ・ケアとは
ここでいう「アクティブ」とは筋力トレーニングなどをして積極的に体を動かすという事ではなく、高齢者が「自分から動く」という事を意味しています。
高齢者の自発的な動きを促し、自立できるように、そして自立した状態を長く続けられるように、そっと支援する事に重点が置かれるのです。

 
最近の日本では「自律支援」という言葉でこのケアが導入されるようになってきました。

 
例えば、パーキンソン病で指が動きにくい高齢者の着替えでは、介護する人が一つ目のボタンだけをとめて、それからは様子を見ていると高齢者の手が自然に動き出し、2つ目のボタンからは自分でかけようとする。これがアクティブ・ケアの一つの例です。

 
このようにアクティブ・ケアでは、介護をする側にとっての効率性を重視するのではなく、高齢者の立場に立ち、高齢者を温かく見守る事を重視します。
アクティブ・ケアを実践すると、もうできないと思っていた事が出来る喜び、更なる意欲を生み出す事が出来、その人なりの自立した日常生活を徐々に取り戻す事が出来るのです。

 
これこそが、本当の「こころのこもった介護」と今後言われていきます。

 

 

 

 

こころのこもった介護について考える

こころのこもった介護について考える
本当のこころのこもった介護は、「いたれり、つくせりの介護」ではありません。
高齢者の現在ある「ちから」をうまく引き出し、自身を付けてもらい、心の充足を味わってもらえる介護こそが本物の介護と呼ばれる時代がやってきます。

 
第三者が傍らから見れば「手抜きの介護」「意地の悪い介護」と思われるかもしれませんが、決して手抜きでも虐待でもありません。
心こころと、知恵と工夫、技術が詰まったハイレベルな介護と言えます。

 
アクティブ・ケアは介護する人、介護される人にとって、結果的に「疲れない、疲れさせない介護」に結び付くのです。
介護の必要な高齢者が10人いれば10通りの介護が存在し、すなわちそれは「10人いれば10人の生き方がある」という事とも言えます。

 

 
最後までお読みいただきありがとうございました。

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