生活を支えるさまざまな制度について
2015/11/07
私たちのまわりには生活を支えるさまざまな制度があります。
例えば、生活保護制度は生活が経済的な理由などで困難になった場合に生活を支えてくれる制度の一つです。
この記事では、私たちのまわりに存在する生活を支える様々な制度について紹介しています。
目次:
生活を支える諸制度について
私たちのまわりには生活を支えるさまざまな制度が存在しますが、その中でも”生活”に目を向けたときに、次の二つの制度が生活を支える制度と言えます。
- 生活保護制度
- 福祉資金制度
これら二つの制度について具体的に見ていきましょう。
生活保護制度について
生活保護制度については「生活保護(公的扶助)の原理と原則 生活保護について知る」でも述べています。
生活保護制度とは、生活を維持する事が出来ない生活困窮者(低所得者・貧困者)に対して支援を行う制度を言います。
生活保護制度が日本の公的扶助の役割を担っています。
この制度により最低限の生活を送る事が保障され、文化的な生活を送る事が出来るのです。
生活保護の実施機関
生活保護は、都道府県・市町村の福祉事務所が行う事とされていて、生活困窮者の居住地を管轄する福祉事務所が担当する事になっています。
また、生活困窮者に居住地がない、あるいは居住地が明らかでない場合には、現に本人がいる場所(現在地)を管轄する福祉事務所が担当します。
生活保護の手続きについて
生活に困窮し保護を必要とする人は福祉事務所に保護を申請します。
保護を必要とする人の事を「要保護者」と呼ぶ事もあります。
福祉事務所は、申請者の資産状況などを調査し、原則として14日以内に、最長でも30日以内に保護の要否を決定し、支給する保護の内容を通知します。
保護の要否は、まず要保護者の世帯の最低生活費を算定し、その最低生活費を世帯の収入でまかなえるかで決められます。
この最低生活費は厚生労働大臣が定める生活保護基準で算定されます。
生活保護基準は、地域、世帯構成、世帯員の年齢、世帯員の状況(障がいの有無など)によって金額(月額)が定められており、福祉事務所は、世帯の状況から基準額に沿って最低生活費を算定し、これを世帯員の能力や資産などを活用しても収入として得られない場合に保護支給が必要であると判断されるのです。
なお、支給される保護の内容は、状況の変化に応じて変わるので、生活保護を受給する人は、所得や家族などの状況を福祉事務所に報告する事とされています。
生活保護の不服申し立て制度
福祉事務所が行った保護に関する決定について不服がある場合には、不服申し立てが出来ます。
生活保護法は、福祉事務所の決定に不服がある場合には都道府県知事に審査請求を行い、都道府県知事は50日以内に裁決する事とされています。
都道府県知事の裁決に不服がある場合には、厚生労働大臣に再審査請求を行う事が出来、厚生労働大臣は70日以内に裁決する事とされています。
なお、生活保護の不服申し立ては、都道府県知事の裁決を経た後でなければ裁判所に提訴できない決まりがあります。
福祉資金制度とは
福祉資金とは低所得者、障害者、高齢者、母子世帯等に対し、その経済的自立と生活意欲の助長促進、在宅福祉と社会参加の促進を図り、安定した生活を確保する為の資金として、福祉資金を融資するものです。
主な物としては次の2つの資金があります。
- 生活福祉資金
- 母子寡婦福祉資金
生活福祉資金とは
生活福祉資金制度は都道府県社会福祉協議会が実施主体ですが、資金貸付の書類交付や受付の窓口は、市町村社会福祉協議会が担当しており、原則として融資希望者の地区担当民生委員の助言指導のもとに融資を受けて、償還する事とされています。
なお、生活保護の被保護者の借入も特例として認められています。
母子寡婦福祉資金とは
母子寡婦福祉資金とは、母子世帯やその子供、寡婦などに対して資金の融資を行うもので、都道府県が実施主体ですが、窓口は福祉事務所となっています。
貸付資金の種類と主な対象は次の通りです。
- 事業開始資金 : 母子家庭の母、母子福祉団体、寡婦
- 事業継続資金 : 母子家庭の母、母子福祉団体、寡婦
- 修学資金 : 母子家庭の母が扶養する児童、父母のいない児童、寡婦が扶養する子
- 技能習得資金 : 母子家庭の母、寡婦
- 修業資金 : 母子家庭の母が扶養する児童、父母のいない児童、寡婦が扶養する子
- 就職支度資金 : 母子家庭の母または児童、父母のいない児童、寡婦
- 医療介護資金 : 母子家庭の母または児童、寡婦
- 生活資金 : 母子家庭の母、寡婦
- 住宅資金 : 母子家庭の母、寡婦
- 転宅資金 : 母子家庭の母、寡婦
- 就学支度資金 : 母子家庭の母が扶養する児童、父母のいない児童、寡婦が扶養する子
- 結婚資金 : 母子家庭の母、寡婦
まとめ
- 私たちのまわりには生活を支えるさまざまな制度が存在しますが、その中でも”生活”に目を向けたときに、次の二つの制度が生活を支える制度と言えます。
- 生活保護制度
- 福祉資金制度
- 生活保護制度とは、生活を維持する事が出来ない生活困窮者(低所得者・貧困者)に対して支援を行う制度を言います。生活保護制度が日本の公的扶助の役割を担っています。
- 福祉資金とは低所得者、障害者、高齢者、母子世帯等に対し、その経済的自立と生活意欲の助長促進、在宅福祉と社会参加の促進を図り、安定した生活を確保する為の資金として、福祉資金を融資するものです。
このように様々な形で私たちの生活は社会的セーフティネットで守られています。
本当に苦しくてつらい状況になるようであればこれらの制度を活用する事により、生活の安定化を図る事も選択肢として持っておくのも良いのではないでしょうか。
また、自分がこれらの制度を利用しなかったとしても、周りに助けを求めている人がいるのであれば、これらの制度の利用を勧めてみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。
関連記事
-
人権が守られる世の中なのか?日本の人権はどうだろう
世界に目を向けてみると人権ってなんだろう?と思う瞬間は無いでしょうか。 人を人と …
-
高齢者虐待防止法とは 高齢者の虐待を防止する法律
高齢者の虐待についてはテレビやメディアで取り上げられる程に社会的な問題となってい …
-
人権とは? 自分が自分らしくあるために
人権は誰しもが持つ権利の一つです。 人権があるからこそ、私たちは一人の人間として …
-
難病対策について そもそも難病とは?
あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、日本でも難病があります。 難病は普通の病 …
-
相手の気持ちがわからない人は相手に寄り添ってみましょう
日常生活の中で相手の気持ちがわからなくてやきもちしてしまう事は多いですよね。 & …
-
感染症や結核対策について 保健医療にかかわる制度
感染症や結核については昨今のニュースやメディアの報道で話題になっている事のひとつ …
-
男性と女性の働くについて考える ワーク・ライフのバランス
女性の社会進出の一方で、家庭における家事分担に関しては、現在も妻が正社員で働いて …
-
日常生活自立支援事業とは 介護に関わる制度
介護の仕事をする上で「日常生活自立支援事業」について知っておくことは重要です。 …
-
都市化による介護の課題
一昔前と比べて、現代の日本では都市化が進んでいます。 都市化により産業が発達し、 …
-
【介護】利用者の苦情を解決する仕組み
介護では施設やサービス等の福祉事業を利用する場面が多くなります。 そうなった場合 …