介護の精神と社会

介護という人々を支える仕事について精神面や法制度などを交え 解説しています。

介護士の医療行為の実態と出来る事について

      2015/11/07


介護士は最近では医療機関で働く機会が増えています。
また、仕事の内容としても医療的ケアとして経管栄養や喀痰吸引等の業務を行う事が出来るようになってきています。

 
介護士として、医療的ケアのチームとして働く上では介護士として、医療の事を知っておく事も重要な事です。

 
この記事では医療行為とはなんなのか?在宅支援での介護士の医行為の実情や特別養護老人ホームの介護士としての医行為の位置づけ等について述べています。

 

 
介護士の医療行為の実態と出来る事について
 

 

医療行為とはなんなのか?

医療行為とはなんなのか?
医療行為(医行為)とは、人の病気の診断や治療などの為に医学に基づいて行われる行為の事を言います。

 
特に、からだにメスを入れたり、放射線を照射したりするように、人のからだを傷付けたり体内に接触したりするような医療行為は、これが正当な業務でなければ刑法により傷害罪や暴行罪に該当する違法性のある場合もあり得ます。

 
したがって、たとえ医療の為であってもこのような行為を行うには、正当な医療行為とされる条件を満たすことが必要となります。

 
医療従事者には、その行為が特別に許されるための要件として「資格」があり、具体的には次のような物があります。

  • 医師免許
  • 歯科医師免許
  • 看護師免許
  • 助産師免許

 
また、医業とは、「業として、医療行為を行う」事を言います。
日本では、医業については医師法第17条に「医師でなければ、医業をなしてはならない」と規定されていて、医師以外が医業を行う事を禁止しています。

 

 

 

 

在宅支援の介護士と医行為の実態について

在宅支援の介護士と医行為の実態について
一人暮らしの高齢者宅を訪問した訪問介護員(ホームヘルパー)は、風邪をひいて熱がありそうな利用者の体温を測ったり、利用者の手の届かない部分などに薬を行ったりするなどの行為を、特に意識せず、日常生活を送る上での支援の円稜線として行ってきた実態があります。

 
この行為は看護師の行う事なのか、介護士が仕方なく行わなければならない事なのかというグレーゾーンとして現場では扱われてきた部分でした。

 
そこで厚生労働省では、在宅の介護現場で混乱が見られた看護か介護かとというグレーゾーンとなっていた行為について2005(平成17)年に次に紹介する16項目に関しては、様々な条件のもとに、原則的には医療行為でないという事を明らかにしました。

  • 腋下(わきの下)あるいは外耳道(耳の中)での体温測定
  • 自動血圧測定器による血圧測定(水銀を使った測定は対象外)
  • 動脈血酸素飽和度を測定するためのパルスオキシメータの装着
  • 軽微な切り傷、擦り傷・やけどなどの処置
  • 軟膏の塗布(褥瘡の処置は対象外)
  • 湿布の貼付
  • 点眼薬の点眼
  • 一包化された内用薬の服用介護(舌下上の使用も含む)
  • 肛門への座薬挿入
  • 鼻腔粘膜への薬剤噴霧
  • 爪切り(ただし爪やその周囲に異常がない場合に限る)
  • 口腔内の刷掃と清拭(ただし重度の歯周病などがない場合の日常的なものに限る)
  • 耳垢の除去(耳垢塞栓があった場合は対象外)
  • ストマの装具のパウチにたまった排泄物の除去(肌に装着したパウチの取り換えは対象外)
  • 自己導尿を補助する為のカテーテルの準備、体位の保持など
  • 市販のディスボーザブルグリセリン浣腸器での浣腸

 
これらの行為は様々な条件の元、介護士であっても行う事が出来る行為となりますが、異常が見られた場合は必ず看護師や医師に相談する必要があります。

 

 

 

 

特別養護老人ホーム(特養)の介護士による医行為の位置づけ

特別養護老人ホーム(特養)の介護士による医行為の位置づけ
在宅と同様に、介護施設においても高齢化や要介護度の重度化に伴い、医療的ケアを必要とする利用者が増加しています。
なかでも、特別養護老人ホームは医療提供を主目的にした施設ではない為、入所者の重度化で、看護職員の配置などの医療提供体制が十分ではなくなってきました。

 
そこで、2010(平成22)年、一定の研修を受けた特別養護老人ホームの介護職員が「口腔内(咽頭の手前まで)の痰の吸引」と「胃瘻による経管栄養」を実施する事について、一定条件のもとにやむを得ない措置として許容する通知が出されました。

 
胃瘻による経管栄養での注意点としては、胃瘻の状態確認、チューブなどの接続、注入開始は介護士では行う事が出来ない、医行為となっていますので注意が必要です。

 
また、この一定条件のもとにやむを得ない措置として許容する通知については「特別養護老人ホームにおける痰の吸引などの取り扱いについて」の内容の通知となっています。

 
通知について、こうした行為における標準的手順や、医師・看護職員・介護職員との役割分担について、また介護職員が実施する上で必要とされる条件が細やかに明記されています。

 

 

 

 

介護士が行う喀痰吸引と経管栄養について

介護士が行う喀痰吸引と経管栄養について
その後、介護職などによる医療行為の法的な位置づけや、実施できる場所の範囲の拡大といった議論があり、厚生労働省は2010(平成22)年7月に「介護職員などによる痰の吸引などの実施のための制度の在り方に関する検討会」を設置し、同年の12月には報告書がまとめられました。

 
これにより、2011(平成23)年、社会福祉士及び介護福祉士法の改正が行われ、2012(平成24)年4月から、介護福祉士と介護福祉士以外の介護職で、都道府県などの研修を修了した者は、医師の指示のもとに診療の補助として、喀痰吸引と経管栄養の医療行為を介護職の業務として実施できるようになりました。

 
この都道府県等の研修を修了した人には「認定特定行為業務従事者」として証明書が交付されます。
この証明書を交付された人については特別養護老人ホームであっても、訪問介護であっても医師の指示があれば痰の吸引や経管栄養を行う事が可能となりますが、必ず医師の指示書が必要になりますので独断では行わないよう注意しましょう。

 

 

 

 

まとめ

指
この記事のまとめです。

  • 医療行為(医行為)とは、人の病気の診断や治療などの為に医学に基づいて行われる行為の事を言います。
  • 医療従事者には、その行為が特別に許されるための要件として「資格」があり、具体的には次のような物があります。
    1. 医師免許
    2. 歯科医師免許
    3. 看護師免許
    4. 助産師免許
  • 一人暮らしの高齢者宅を訪問した訪問介護員(ホームヘルパー)は、風邪をひいて熱がありそうな利用者の体温を測ったり、利用者の手の届かない部分などに薬を行ったりするなどの行為を、特に意識せず、日常生活を送る上での支援の延長線として行ってきた実態があります。
  • 看護か介護かとというグレーゾーンとなっていた行為について2005(平成17)年に次に紹介する16項目に関しては、様々な条件のもとに、原則的には医療行為でないという事を明らかにしました。
    1. 腋下(わきの下)あるいは外耳道(耳の中)での体温測定
    2. 自動血圧測定器による血圧測定(水銀を使った測定は対象外)
    3. 動脈血酸素飽和度を測定するためのパルスオキシメータの装着
    4. 軽微な切り傷、擦り傷・やけどなどの処置
    5. 軟膏の塗布(褥瘡の処置は対象外)
    6. 湿布の貼付
    7. 点眼薬の点眼
    8. 一包化された内用薬の服用介護(舌下上の使用も含む)
    9. 肛門への座薬挿入
    10. 鼻腔粘膜への薬剤噴霧
    11. 爪切り(ただし爪やその周囲に異常がない場合に限る)
    12. 口腔内の刷掃と清拭(ただし重度の歯周病などがない場合の日常的なものに限る)
    13. 耳垢の除去(耳垢塞栓があった場合は対象外)
    14. ストマの装具のパウチにたまった排泄物の除去(肌に装着したパウチの取り換えは対象外)
    15. 自己導尿を補助する為のカテーテルの準備、体位の保持など
    16. 市販のディスボーザブルグリセリン浣腸器での浣腸
  • 在宅と同様に、介護施設においても高齢化や要介護度の重度化に伴い、医療的ケアを必要とする利用者が増加しています。
  • そこで、2010(平成22)年、一定の研修を受けた特別養護老人ホームの介護職員が「口腔内(咽頭の手前まで)の痰の吸引」と「胃瘻による経管栄養」を実施する事について、一定条件のもとにやむを得ない措置として許容する通知が出されました。

 
介護職員・看護職員の不足が問題となっている昨今ですが、介護・看護の分野はこれから更に人材が必要となってきます。
介護職員は、看護職員の仕事を最大限サポートし、同様に看護職員としても介護職員を最大限サポートできる体制が必要となってきます。

 
それにはお互いの仕事や方法について理解を深めると同時に、制度としても大きな変革が必要になってくるのではないでしょうか。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

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