高齢者虐待防止法とは 高齢者の虐待を防止する法律
2015/11/07
高齢者の虐待についてはテレビやメディアで取り上げられる程に社会的な問題となっています。
高齢者の虐待を防止する仕組みとして高齢者虐待防止法があります。
高齢者虐待防止法について触れる事で、自分の身の回りの高齢者に対する虐待を早期発見する事に繋がり、高齢者やその人を養護している人を守る事に繋がっていく可能性があります。
この記事では高齢者虐待防止法について書いています。
高齢者の虐待防止について
介護を必要とする高齢者は権利や尊厳がおかされやすい状態におちいりやすくなります。
そこで高齢者虐待を防止し、高齢者の権利利益の擁護と擁護者の支援の促進を目的として、2005(平成17)年に「高齢者虐待の防止、高齢者の擁護者に対する支援等に関する法律」(高齢者虐待防止法)が交付され、2006(平成18)年から施行されました。
この法律ができた理由としては次のような背景があります。
- 高齢者に対する虐待が深刻な状況にあること
- 高齢者の尊厳の保持にとって虐待を防止する事がきわめて重要であること
超高齢社会において虐待を防止するのに必要な対策をまとめると次の通りとなります。
- 虐待防止のための国などの責務を定める
- 虐待を受けた高齢者に対する保護のための措置を定める
- 擁護者の負担の軽減を図ることなど、擁護者に対する支援策を定める
高齢者虐待の定義について
高齢者虐待を判断する上では、どこからが虐待なのか定義が必要となります。
高齢者の虐待は次の二つに分けられています。
- 養護者による高齢者虐待
- 養介護施設従事者などによる高齢者虐待
養護者とは、高齢者を養護する人の事で、唐人福祉施設や、介護老人福祉施設などの養介護施設の従事者以外の人の事を言います。
それに対し、養介護施設とは高齢者虐待防止法において施設従事者による虐待防止の対象となる施設の事を言います。
老人福祉施設、有料老人ホーム、地域密着型介護老人福祉施設、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、地域包括支援センターの事を指します。
養護者による高齢者虐待の例
養護者による高齢者虐待の例を挙げます。
主に次のような虐待が社会的には多いとされています。
- 身体的虐待
- ネグレクト
- 心理的虐待
- 性的虐待
- 経済的虐待
身体的虐待は、高齢者の体に外相が生じ、または生じるおそれのある暴行を加える行為の事を指します。
ネグレクトは高齢者を衰弱させるようないちじるしい減食または長時間の放置、養護者以外の同居人による身体的な虐待や心理的虐待、性的虐待、経済的虐待を放置するなど養護をいちじるしく怠ることを指します。
心理的虐待は高齢者に対するいちじるしい暴言またはいちじるしく拒絶的な対応その他の高齢者に著しい心理的外傷を与える言動を行う事を指します。
性的虐待は、高齢者にわいせつな行為をすること、または高齢者をしてわいせつな行為をさせることを指します。
経済的虐待は養護者または高齢者の親族が当該高齢者の財産を不当に処分する事やその他当該高齢者から不当に財産上の利益を得る事を指します。
養介護施設従事者などによる高齢者虐待の例
養介護施設従事者による高齢者虐待の例を挙げます。
養護者と同様の内容となります。
- 身体的虐待
- ネグレクト
- 心理的虐待
- 性的虐待
- 経済的虐待
身体的虐待は、高齢者の体に外相が生じ、または生じるおそれのある暴行を加える行為の事を指します。
ネグレクトは高齢者を衰弱させるようないちじるしい減食または長時間の放置、養護者以外の同居人による身体的な虐待や心理的虐待、性的虐待、経済的虐待を放置するなど養護をいちじるしく怠ることを指します。
心理的虐待は高齢者に対するいちじるしい暴言またはいちじるしく拒絶的な対応その他の高齢者に著しい心理的外傷を与える言動を行う事を指します。
性的虐待は、高齢者にわいせつな行為をすること、または高齢者をしてわいせつな行為をさせることを指します。
経済的虐待は養護者または高齢者の親族が当該高齢者の財産を不当に処分する事やその他当該高齢者から不当に財産上の利益を得る事を指します。
高齢者虐待への対応について
高齢者虐待は早期発見が重要です。
周囲で高齢者の方に身近な人は、本人との関わりを通して、高齢者の身体状況や心理的状況、経済的状況、家屋や部屋などの環境を把握し、虐待を早期発見する事が重要です。
高齢者を介護する介護士は同様にこれらの環境を把握しやすい立場にあると言えます。
高齢者虐待防止法においても早期発見に努め、発見した際には「速やかに市町村に通報する事」が介護職には求められています。
このとき、守秘義務などをおかすと考えてしまいがちですが、法律では「守秘義務よりも虐待の通報を優先する事」としています。
虐待を受けたと思われる高齢者や虐待と疑われるような状態を見つけた場合は次にあげる事をポイントととして留意してください。
- 一人で抱え込まないようにする
- 一人で判断せず、上司や所属長に相談する。
- 自分の判断で情報収集を行わない
- プライバシーに十分配慮して行動する
また、法律の特徴となっている通り、介護職には養護者が虐待をしないように支援する役割も期待されています。
被害を受けた高齢者の保護と養護者の適切な支援のためには、関係機関の連携と協力体制の整備が不可欠です。
専門職や専門機関に対しては、与えられた役割と業務内容のなかで虐待の防止と解決に向けた取り組みを行い、市民や家族に対してもできる範囲で見守りを行う事が求められています。
日頃から周囲の人は様々な変化をキャッチできるようにしておきたいものです。
まとめ
この記事のまとめです。
- そこで高齢者虐待を防止し、高齢者の権利利益の擁護と擁護者の支援の促進を目的として、2005(平成17)年に「高齢者虐待の防止、高齢者の擁護者に対する支援等に関する法律」(高齢者虐待防止法)が交付され、2006(平成18)年から施行されました。
- 高齢者虐待防止法ができた理由としては次のような背景があります。
- 高齢者に対する虐待が深刻な状況にあること
- 高齢者の尊厳の保持にとって虐待を防止する事がきわめて重要であること
- 高齢者の虐待は次の二つに分けられています。
- 養護者による高齢者虐待
- 養介護施設従事者などによる高齢者虐待
- 高齢者虐待は早期発見が重要です。
- 高齢者虐待防止法においても早期発見に努め、発見した際には「速やかに市町村に通報する事」が介護職には求められています。
- このとき、守秘義務などをおかすと考えてしまいがちですが、法律では「守秘義務よりも虐待の通報を優先する事」としています。
- 虐待を受けたと思われる高齢者や虐待と疑われるような状態を見つけた場合は次にあげる事をポイントととして留意してください。
- 一人で抱え込まないようにする
- 一人で判断せず、上司や所属長に相談する。
- 自分の判断で情報収集を行わない
- プライバシーに十分配慮して行動する
最後までお読みいただきありがとうございました。
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