介護の精神と社会

介護という人々を支える仕事について精神面や法制度などを交え 解説しています。

障害者総合支援法への移り変わり

      2015/11/07


日本には障害者自立支援制度と呼ばれる制度があります。
障害者自立支援制度は障害を持った人を対象に生活的・経済的・身体的・精神的な面で支援を行っていく事を目的とした側面を持った制度です。

 
この制度を象徴する法律として、今の日本には「障害者総合支援法」と呼ばれる法律があります。
障害者総合支援法は、かつて「障害者自立支援法」と呼ばれる法律を前身として出来上がった法律です。

 
この記事では「障害者自立支援法」から「障害者総合支援法」への移り変わりについて書いています。

 

 
アート
 

 

障害者総合支援法制定までの流れ

川
 
2012(平成24)年6月、「地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律」が成立しました。
この法律の影響を受け、「障害者自立支援法」は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」となりました。

 
この「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」が「障害者総合支援法」です。

 

 

 

 

障害者自立支援法の問題点

ちょっと待った
 
障害者自立支援法は、2005(平成17)年10月に成立し、従来の「支援費制度」に代わる制度として施行されました。
しかし、当初の狙いとは異なり、次のような様々な問題が浮かび上がる事になります。

  • 福祉サービス利用等の費用負担(利用料負担など)が大幅に増えて障害のある人の制度利用が困難である事
  • 各福祉サービスに対応する報酬が実質的に引き下がった為、多くの福祉事業者の経営環境が厳しくなったこと

 

 

 

 

障害者自立支援法の問題への対策

盾
 
こうした問題に対処する為、2007(平成19)年、2008(平成20)年の二度にわたって、利用者負担の軽減などの方策を講じました。
そして、2009(平成21)年の政権交代を機に、「障害者自立支援法」を廃止して、新たに福祉法制を実施する事が決まりました。

 
2010(平成22)年4月からは、福祉サービス利用などについて、市町村民税非課税世帯の利用者負担を0円とする措置が始まったほか、同じ年の12月には「障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策をみなおすまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律」が交付されました。

 
2011(平成23)年10月からは視覚障がい者の移動を支援する「同行援護」の事業がスタートしたほか、2012(平成24)年4月から相談支援、障害児支援の内容が大きく変更されました。

 

 

 

 

これまでの問題を踏まえた障害者総合支援法

上位資格
 
このような経緯を踏まえ、障害者総合支援法では、障害者の定義に新たに難病などを加え、従来の障害程度区分の名称を障害支援区分に改めました。
重度区障害者への訪問介護の対症を拡大し、共同生活を行うケアホーム、グループホームを一元化しました。

 
また、障害者支援施設の障害者や精神科病院の精神障害者に加え、地域以降支援の対象者の拡大も行われました。

 

 

 

 

障害者総合支援法の主な改正ポイント

ひらめき
 
障害者自立支援法から障害者総合支援法への移り代わりについての主な改正ポイントについてみてみましょう。
障害者自立支援法から障害者総合支援法への主な改正ポイントは次の通りです。

  • 難病の人が制度の対象に加わりました
  • 法律に「基本理念」が追加されました
  • 地域生活支援事業の内容が見直されました
  • 「障害程度区分」から「障害支援区分」に見直されました
  • 「ケアホーム」が「グループホーム」に統合されます
  • 重度訪問介護の対象が広がります
  • 地域移行支援の対象が広がります
  • 「自立支援協議会」の名称が改められました

 

 

 

難病の人が制度の対象に加わりました

これまでの制度の対象は、身体障害者、知的障害者、発達障害を含む性障害者に限られていましたが、改正によって難病患者もサービスの対象になりました。

 

 

 

法律に「基本理念」が追加されました

障害者基本法の目的や基本原則を踏まえて、障害者総合支援法で目指すべき「基本理念」が規定されました。
具体的には、障害のある人の支援に関して次のような内容が盛り込まれています。

  • 共生する社会を実現する
  • 全ての障害者及び障害時が可能な限りその身近な場所において必要な支援が受けられる

 

 

 

地域生活支援事業の内容が見直されました

地域生活支援事業には、市町村と都道府県が必ず実施しなければならない「必須事業」と、市町村の判断で実施できる「任意事業」があります。

改正によって、市町村の必須事業として「障害者に対する理解を深めるための研修や啓発を行う事業」、都道府県の必須事業として「意思疎通支援を行う物を要請する事業」等が追加されました。

 

 

 

「障害程度区分」から「障害支援区分」に見直されました

障害者自立支援法では、障害福祉サービスの必要性を明らかにするため、障害者の心身の状態を6段階で示す「障害程度区分」が使われていました。

2014(平成26)年4月からは「障害支援区分」という名称になり、障害の重さではなく、障害の多様な特性その他の心身の状態に応じて必要とされる標準的な支援の度合いを総合的に示すものに見直されました。

 

 

 

「ケアホーム」が「グループホーム」に統合されます

共同生活を行う住居でのケアが柔軟にできるよう「共同生活介護」(ケアホーム)が「共同生活援助」(グループホーム)に統合(一元化)されました。

 

 

 

重度訪問介護の対象が広がります

従来は「重度の肢体不自由」に限られていましたが、重度の知的障害者や精神障害者もサービスが利用できるようになりました。

 

 

 

地域移行支援の対象が広がります

障害自立支援法では、障害者支援施設などに入所している障害者か、精神科病院ににゅういんしている障害者が対象でしたが、保健施設や矯正施設などの障害者も対象になりました。

 

 

 

「自立支援協議会」の名称が改められました

 
自立支援協議会の名称が、地域の実績に応じて変更できるよう「協議会」に改められました。
また、協議会の構成員に障害者等及びその家族が含まれる旨が明記されました。

 

 

 

 

まとめ

指
 

この記事のまとめです。

  • 2012(平成24)年6月、「地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律」が成立しました。
  • この法律の影響を受け、「障害者自立支援法」は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」となりました。
  • この「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」が「障害者総合支援法」です。
  • 障害者自立支援法は、当初の狙いとは異なり、次のような様々な問題が浮かび上がる事になります。
    1. 福祉サービス利用等の費用負担(利用料負担など)が大幅に増えて障害のある人の制度利用が困難である事
    2. 各福祉サービスに対応する報酬が実質的に引き下がった為、多くの福祉事業者の経営環境が厳しくなったこと
  • 障害者自立支援法から障害者総合支援法への主な改正ポイントは次の通りです。
    1. 難病の人が制度の対象に加わりました
    2. 法律に「基本理念」が追加されました
    3. 地域生活支援事業の内容が見直されました
    4. 「障害程度区分」から「障害支援区分」に見直されました
    5. 「ケアホーム」が「グループホーム」に統合されます
    6. 重度訪問介護の対象が広がります
    7. 地域移行支援の対象が広がります
    8. 「自立支援協議会」の名称が改められました

 

 
最後までお読みいただきありがとうございました。

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