介護の精神と社会

介護という人々を支える仕事について精神面や法制度などを交え 解説しています。

福祉六法とは 社会福祉法制の概要

      2015/11/07


社会保障は私たちの生活で不測の事態が起きたとしても安心して生活が送れる事を保障した仕組みです。

 
社会保障等の社会福祉の分野では社会福祉を象徴する法制度である福祉六法(ふくしろっぽう)が基本となっています。

 
この記事では社会福祉の基本である福祉六法の概要や体系について書いています。

 

 
木造の校舎
 

 

福祉六法とは 福祉六法の体系

 
社会福祉法制とは「社会福祉に関する法令を体系化した制度」の事を言います。
日本の社会福祉法制は日本国憲法が根本となっていて、福祉六法といった中心的な社会福祉を規定する各法律と、それらを束ねる社会福祉法、更にそこから派生してきた諸法律からなります。

 
福祉六法に該当する法律は次の6つとなります。

  • 生活保護法
  • 児童福祉法
  • 母子及び寡婦福祉法
  • 身体障害者福祉法
  • 知的障害者福祉法
  • 老人福祉法

 
社会福祉法制は従来、「生存権の保障」という基本理念に基づいていて、措置によって実施される制度でした。

 
ですが、社会福祉事業が社会福祉法へと移行した事で、社会福祉法制は「個人の尊厳」に基づき、福祉サービス提供事業者とサービスを受ける利用者間で、サービスの内容・時間・費用などを自由に決める事が出来る「契約」によって行われる制度になりました。

 
これは社会福祉法制度が「措置制度」から「契約制度」と移り変わってきた事を表現しています。

 

 

 

 

福祉六法を支える、周辺の法律の体系

介護保険制度
 
福祉六法を中心的な法律として、その周辺の法律を見てみると、介護福祉士を規定する「社会福祉士および介護福祉士法」は、社会福祉を展開していくうえで必要とされる人材確保という性質を持っていると言えます。

 
介護実践でかかわりの深い「介護保険法」は老人福祉法から派生した法律と言えます。
1973(昭和48)年に実施した高齢者の医療費自己負担分の無料化によって増大した高齢者医療費への対策として、老人保健法が策定されました。
この流れから、老人保健法から2008年(平成20)年に名前が変わった「高齢者の医療の確保に関する法律」も、老人福祉法から派生した法律の一つであるともいえます。

 
このほかにも児童虐待の防止などに関する法律、売春防止法、高齢者虐待の防止、高齢者の擁護者に対する支援などに関する法律などのように対象者の人権を守る事を目的とした法律もあります。

 
このほかにさらに、社会福祉、社会保障の前提となる社会の在り方について、国、地方自治体、事業主として国民に対して責務を規定するような「少子社会対策基本法」、そして「高齢社会対策基本法」といった法律も同様に社会福祉に関係する法律と言えます。

 
このように福祉六法に基づいてそれを支える周辺の法体系が出来上がっているのです。

 

 

 

 

社会福祉法制の種類

拘束がない
 
社会福祉法制の種類についてみてみましょう。
社会福祉法制の種類として挙げられるのは次のような法律です。

 

  • 生活保護法
  • 児童福祉法
  • 身体障害者福祉法
  • 知的障害者福祉法
  • 老人福祉法
  • 母子および寡婦福祉法
  • 社会福祉法
  • 精神保健福祉法

 

 

 

生活保護法について

 
生活保護は戦前でいうところの「救護法」にあたる法律です。
戦後の医療保護法の後を引き継ぐ形で1946(昭和21)年に「旧生活保護法」として成立しました。

 
しかし不服申し立てが出来ない扶助が限定的であったことなどから1950(昭和25)年に改正され、今の「生活保護法」として今日に至っています。

 
日本国憲法第25条の生存権の理念に基づいており、我が国の公的扶助の中心となる法律です。

 

 

 

児童福祉法について

 
児童福祉法は1947(昭和22)年に制定された、わが国で最初に福祉の文字を名前に持った法律です。

 
当初は戦後の浮浪児対策として児童養護方が検討されましたが、GHQの指導によって対象を普遍的に拡大し、広く児童の福祉の向上を目指す法律として成立しました。

 
この法律では児童を満18歳未満としており、乳児(1歳未満)、幼児(1歳から小学校就学前)、少年(小学校就学から18歳未満)と区分しています。
また身体、知的、精神、発達などの障害を持つ児童を障害児として定義しており、障害児に対する支援は児童福祉法によって規定されています。

 

 

 

身体障害者福祉法について

 
身体障害者福祉法は、1949(昭和24)年に制定され、障害者への支援を目的とした法律の中では最初になります。
身体障害者福祉法とは、身体障害者の自立と社会経済活動への参加を促進する為、身体障害者への支援を行い、身体障害者の福祉を増進する事を目的とした法律です。

 
また、障害者に対して自立に向けた努力を求めるとともに、社会を構成する一因として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会を与えられるものと定められています。

 
具体的な更生援護として、身体障害者手帳の交付、診査、更生相談、障害福祉サービスの提供、障害者支援施設などへの入所の措置などが規定されています。

 

 

 

知的障害者福祉法について

 
知的障害者福祉法はもともと1960(昭和35)年に精神薄弱者福祉法として策定され、1998(平成10)年に現在の名称に変更されました。
知的障害者福祉法は、障害者総合支援法と共に、知的障害者の自立と社会的経済活動への参加を促進する為、知的障害者を援助するとともに必要な保護を行い、知的障害者の福祉を図る事を目的としています。

 
全ての知的障害者に対しては、そのもっている能力を活用し、進んで社会経済活動に参加する事を求めています。
そして、すべての知的障害者は、社会を構成する一員として、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会を与えられるものとされています。

 

 

 

老人福祉法について

 
1963(昭和38)年に成立した老人福祉法は、高齢者の福祉に関する原理を明らかにするとともに、高齢者に対し、その心身の健康の保持および生活の安定の為に必要な措置を講じ、高齢者の福祉を図る事を目的とした法律です。
この法律が定めている基本理念は、我が国において高齢者をどう敬うべきなのかを示した高い規範性を持っています。

 
また、高齢者本人に対しては「老齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して、常に心身の健康を保持し、又は、その知識と経験を活用して、社会的活動に参加するように努めるものとする」と共に、希望を持っている力に応じて、社会参加する気化を与えられている者との理念をうたっています。

 
高齢者の定義についてはこの法律で定められておらず、社会通念によるとされています。
サービスの運用上においては、おおむね65歳以上が高齢者とされています。

 

 

 

母子および寡婦福祉法

 
この法律は1952(昭和27)年に制定された母子福祉資金の貸付等に関する法律をひきつぐ形で、母子福祉法という名称で1964(昭和39)年に制定されました。
その後、1981(昭和56)年に現在の「母子及び寡婦福祉法」へと名称が改正されました。

 
基本的理念としては、酢b手の一人親家庭において、児童がそのおかれている環境で文化的な生活が保障されるものとなっています。

 
なお、名称から母の実が対象であるかのように思ってしまいますが、現在は適用範囲が拡げられて、父も含まれ、一部を除いて母子・父子ともに支援策が実施されています。

 

 

 

社会福祉法について

 
この法律は戦前の社会事業法を引き継ぐ形で、1951年(昭和26)年に社会福祉事業法という名称で成立しました。
その後1990年代の社会福祉基礎構造改革の議論を受けて、2000(平成12)年の改正で社会福祉法という名称になりました。

 
社会福祉法は、「社会福祉を目的とする事業の全分野における共通的基本事項を定め、社会福祉を目的とする他の法律と一緒に、福祉サービスの利用者の利益の保護および地域福祉の増進を図るとともに、社会福祉事業の公明かつ適正な実施の確保および社会福祉を目的とする事業の健全な発達を図り、もって社会福祉の増進に資する事」を目的とした法律です。

 
社会福祉法では次の福祉事業を規定しています。

  • 第一種社会福祉事業
  • 第二種社会福祉事業

 
その他に、地域福祉実践の根拠を示した法律という性格も持っており、社会福祉協議会や地域福祉計画の作成について規定しています。

 

 

 

精神保健福祉法について

 
精神保健福祉法は正式には「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」と言いますが、通称「精神保健福祉法」と呼ばれる事が多いです。

 
精神保健福祉法は「精神障害者の医療および保護を行い、障害者総合支援法と共に、精神障害者の社会復帰の促進と自立、そして社会経済活動への参加の促進のために必要な援助を行い、合わせてその発生の予防とその他国民の精神的健康の保持および増進に詰める事により、精神障害者の福祉の増進と国民の精神保健の向上を図る事」を目的とした法律です。

 
1950(昭和25)年に、それまでの精神障害者に関わる法律だった「精神病者看護法」と「精神病院法」を廃止し、「精神衛生法」という名称で成立しました。
その後、1987(昭和62)年に精神保健法と名称を替え、1995(平成7)年に精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の名称となりました。

 
この法律でいう精神障害者とは次のような方を指しています。

  • 「統合失調症」
  • 「精神作用物質による急性中毒またはその依存症」
  • 「知的障害」
  • 「精神病質その他の精神疾患を持っている者」

 
精神保健福祉法ではこのように、精神障害者に対する医療サービスや社会サービスについて規定しているほかに、国民全般に対して精神障害者への理解と支援への協力について国民の義務として規定しています。

 

 

 

 

まとめ

指
 
この記事のまとめです。

  • 社会福祉法制とは「社会福祉に関する法令を体系化した制度」の事を言います。
  • 社会福祉法制の種類として挙げられるのは次のような法律です。
    1. 生活保護法
    2. 児童福祉法
    3. 身体障害者福祉法
    4. 知的障害者福祉法
    5. 老人福祉法
    6. 母子および寡婦福祉法
    7. 社会福祉法
    8. 精神保健福祉法

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました

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