介護の精神と社会

介護という人々を支える仕事について精神面や法制度などを交え 解説しています。

家庭ってなんだろう 介護を考える上で暮らしを考える

      2015/11/07


「明るい家庭的な雰囲気の施設です」
「家庭的な手厚い介護を提供します」

 
このような表現を介護福祉サービスの広報で目にする事は現在では珍しくありません。
キャッチフレーズを読んだだけでこれらの言わんとしている事について理解できないといった事はないでしょう。

 
現代の私たちにとって「家庭」という言葉は当たり前の言葉となっていますが、介護の仕事をしていくうえで「家庭」という言葉について改めて知る事で、より利用者の方の立場に立った介護に近づく事が出来るのではないでしょうか。
 
この記事では「家庭」について由来や言葉について記載しています。

 

 
家族
 

 

家庭・家族・世帯の由来

 
現代の日本に生きる私たちにとって「家庭」という言葉は改めてその意味を説明する必要がないのではないかと思える程に、なじみ深い言葉とっています。
しかし、「家庭」という言葉が広く使われるようになったのは、明治の中頃からの事で、当時の人々にとって「家庭」という言葉は、当時の流行語のようなものとしてとらえられていました。

 
それ以前の日本では「家庭」という言葉は「家族」や「世帯」といった言葉で表現されていました。
現代の私たちでは「家庭を持つ」といった言葉を使うかもしれませんが、高齢者の方は「世帯を持つ」という表現をする方もいます。

 
家庭・家族・世帯といった同じような事を表現する言葉であっても微妙な価値観の違いや生きてきた時代の違いが出るのです。

 

 

 

 

家庭という言葉について

寄り添う

 
「家庭」という言葉は、中国に昔からありました。
中国で表現される家庭とは「家の庭」「家族が生活している所」といった具体的な場所を表現する言葉でした。

 
その言葉が明治20年代にホーム(home)の訳語として「家庭」と使われるようになり、家庭という言葉は流行の言葉として世間に広まるようになりました。

 
1892(明治25)年に”家庭雑誌”という雑誌が創刊されていますが、その創刊号には「家庭改革」という表現がされています。
「家庭」という言葉以外にも「改革」という言葉が使われている事から、当時の「家庭」は家長に封建的な家制度を意識されている事がうかがえます。

 
日本の昔の家庭の姿に対して、欧米の文化の影響のもとで、新しい家族の在り方を提示しようとする動きが、当時のマスコミを通じて、目新しいニュアンスの「家庭」という言葉を流行させました。

 
「家庭」という言葉を受け、家族の在り方も少しずつ影響を受け、現代の日本の家庭の多様な在り方が生まれています。

 

 

 

 

家族という言葉について

介護保険制度

 
家族という言葉も、日本で使われるようになったのは、幕末から明治の初めにかけての事でした。
しかし、その頃に家族とみなされた範囲は、現代の日本の価値観と比べるとかなり幅広く、血縁関係のない人を含む家の構成員(使用人なども含む)や親族・同族なども含むものでした。

 
家族という言葉が日本で使われてからしばらくは「家に関わる者すべてを家族とみなす」といった価値観が一般的で、家族の切り分けがはっきりしていませんでした。

 
このはっきりしなかった家族の範囲をはっきりさせたのが1893(明治31)年に公布された明治民法です。
明治民法の中には次の一文があります。

 
「戸主ノ親族ニシテ其家ニ在ル者 及ヒ其配偶者は之ヲ家トス」

 
一文が表現する物により”家族”と”親族”がはっきりと分けられ、家族は戸籍に登録された戸主の親族と配偶者に限定される事になりました。

 
大正に入り社会科学の分野で、制度的集団としての家と対比で、夫婦を中心とした血縁者による生活集団である家族について論議されるようになり、学問の領域では「家族」という言葉が一般的に使われるようになっていきます。

 

 

 

 

世帯という言葉について

憲法

 
世帯という言葉は1918(大正7)年の国勢調査施行令において行政用語として登場しました。
世帯という事が出てくるまでは「所帯」という言葉が使われていました。

 
世帯という言葉は「現実の生活を共に送っている」事に重点が置かれています。
この言葉が登場した背景には日露戦争後、農村から都市への労働力の移動が激しくなり、従来の制度的な家と現実の家族生活の実態との間にズレが生じてきたことが挙げられるでしょう。

 
現代の日本では当たり前のようなこれらの言葉が時代の変化や諸外国の文化の影響、都市化や産業化などの社会の変化と深く結びついて誕生したものである事はこれまでの話で分かるのではないでしょうか。

 

 

 

 

まとめ

指

 
この記事のまとめです。

 

  • 「家庭」という言葉は明治の中頃から使われるようになってきました
  • 「家庭」という言葉が世間に浸透するまでは「家族」や「世帯」という言葉が使われてきました
  • 「家族」という言葉は幕末から明治のはじめにかけて使われるようになってきました
  • 「世帯」という言葉は1918(大正7)年の国政調査施行令において行政用語として登場しました
  • 「世帯」という言葉がでるまでは「所帯」という言葉が使われていました
  • 家庭・家族・世帯といった言葉は時代の変化や諸外国の文化の影響、都市化や産業化などの社会の変化と深く結びついて誕生しました

 

 
最後までお読みいただきありがとうございました。

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