介護の精神と社会

介護という人々を支える仕事について精神面や法制度などを交え 解説しています。

特養ユニットケアについて 従来の介護と新しい介護

      2015/11/07


特養は特別養護老人ホームの略語です。
特別養護老人ホームである特養という言葉を聞くと色々なイメージを持つ人も居るでしょう。

 
特養で働く人であれば今のケアで入居者や利用者は本当に満足しているのだろうか?という思いを持っている人も居るでしょう。
現代の特養の介護では、ユニットケアと呼ばれるケアが主流の時代になりつつあります。

 
特養のユニットケアとはいったいなんなのか?ユニットケアのメリットやデメリットはなんなのか?という事を見ていきましょう。

 

 
特養ユニットケアについて 従来の介護と新しい介護
 

 

ユニットケアとは

ユニットケアとは 
ユニットケアについては「ユニットケアとは 」で詳しく紹介しています。

 
「ユニットケア」とは、自宅に近い環境の介護施設で、他の入居者や介護職と一緒に生活をしながら、入居者一人ひとりの個性や生活リズムに応じて暮らしていけるようにサポートする介護手法のことを言います。

 
ユニットケアは、入居者の尊厳ある生活を保障し、一人ひとりの個性と生活リズムを尊重した「個別ケア」を実現する一つの手法なのです。

 
「ユニットケア」の最大の特徴は、入居者個人のプライバシーが守られる「個室」と、他の入居者や介護スタッフと交流するための「居間」(共同生活室)があることです。

 
ユニットケアでは一人一人の個性や生活スタイルに合わせたケアを行う為、もちろん特養などの施設で生活する人の住む環境も整備をします。

  • 今までと変わらない暮らし
  • 自分の居場所を設ける
  • 他の人との交流
  • 施設だけでなく地域の中でも生活できるようにする

 
特別養護老人ホームに入居される人の今までと変わらない暮らしを支えるには、今まで生活する上で使ってきた馴染みの家具というのもあるでしょう。

 
また、生活をしていく上では自分の居場所を持っている事も重要ですよね。

 
生活の上では他の人との交流も欠かせないでしょう。

 
生活をしていく上では地域の中でもいろいろな人や物、サービスと関わってきますよね。

 
特別養護老人ホームなどの施設で生活する人は施設の中だけで生活をしているのではなく入居者が望む限り地域との関わりを最大限サポートするのもユニットケアの特徴です。

 
ユニットケアでは、人が生活する上で当たり前だったことを、介護が必要になったからあきらめるのではなく、当たり前だった生活を介護が必要になったとしても当たり前に送れるようにするという大義を持った介護手法なのです。

 

 

 

 

特養のケア 古い介護手法は集団生活が何より大事にされていた

特養のケア 古い介護手法は集団生活が何より大事にされていた
従来の特別養護老人ホーム(通称:特養)等の施設は、生活する場所というよりも病院のような印象を受ける施設でした

 
特養の部屋にあるベッドのシーツは真っ白であったり、特別な私物は持ち込む事が出来ないなど、一人の人間が自由に生活する場とは程遠い場所だったのです。

 
今までの特養は一人の人が生活する場所というよりも、集団生活をする場所であるという事が何よりも大事にされてきたのです。

 
集団生活をする上では特養に入居している高齢者の個性であったり、生活上の希望を軽視するような介護を提供せざるを得なかった状況があります。

 
特養に入居する一人の入居者は、かけがえのない一人の人間という個人を尊重した見方ではなく、大勢の中の一人という見方ともとれる生活環境が特養では提供されていたり、介護の方法も個人を尊重する介護よりも集団を相手に業務的にこなす介護が行われてきた歴史がありました。

 
現代でも特養に限らず、有料老人ホーム等の施設でも集団生活が何よりも大事にされている施設というのは多くあります。
その様な施設で生活する高齢者は自分の希望も言えず我慢する事が多いとも言います。

 
現代の特養の介護は今までの集団的な生活だけに捉われるのではなく、入居者一人一人の個性に目を向けた介護が行われる事が求められているのです。

 

 

 

 

特養の新しい介護手法 ユニットケア

特養の新しい介護手法 ユニットケア
ユニットケアについては先ほど紹介させていただきましたが、今まで特養で行われてきた介護とは違い、入居者一人一人の個性を大事にする介護手法である事がご理解いただけるかと思います。

 
今までの特養における集団生活を大切にしてきた介護手法と比較すれば、入居者一人一人の個性を大事にする介護手法である事が一目瞭然でしょう。
特養における今までの住環境や介護職員の対応などなど、介護における思想的な課題がクリアされ、とても魅力的な介護と受け取る事が出来ますよね。

 
特養でユニットケアを意識して働く職員は、より専門的な知識や経験を積み重ね、集団的に入居者を相手するのではなく、一人ひとりを大事にしたケアを心がけていく事が重要でしょう。

 

 

 

 

新設の特養はユニットケアを実現しやすい 従来の施設が持つ壁

新設の特養はユニットケアを実現しやすい 従来の施設が持つ壁
介護職員として働く場合であっても、入居者として特養を利用する場合であっても、新設の特養ではユニットケアを実現しやすいという特徴があります。
理由は特養が設立時に持っている住環境にあります。

 
従来の特養は先ほど申し上げた通り、施設の入居者を「個人」としてではなく、「集団の中の一人」という見方がされていました。

 
そのため、入居者の住環境も「多床型」と呼ばれる、一つの大部屋に何人もの入居者が住むような環境となっていて、それぞれの入居者はカーテン一枚で仕切られているだけというような施設もあります。

 
今まで大部屋一つで何人もの入居者を見ていたのに対し、新しい介護手法であるユニットケアでは入居者はそれぞれ、自分の自由に使える空間として、個室を持ちます。

 
大部屋を取り壊し、ユニット型に切り替えるには入居者の人数や環境上、限界がきて無理が生じてしまいます。
また、従来型の介護施設がユニット型の介護施設になるための工事費などは施設負担となります。

 
特養はそもそも営利を目的としてはいけないという福祉の制約があるため、よりユニット型への切り替えが困難である現実があるのです。

 
それに対し、新設のユニットケアを意識した特養は最初から入居者一人ひとりが自由に使える個室を意識した作りとなっています。
つまりは、最初からユニットケアが実現できる状況にあるため、介護職員もユニットケアを意識しやすいのです。

 
入居する場合であっても、介護職員として働く場合であっても新設の特養はユニットケアを実現しやすい環境にある事は間違いないでしょう。
中には新設の特養であってもユニットケアの出来るユニット型ではなく、従来型の特養で用いられてきた多床型である場合もあります。

 
事前に施設のホームページで調べたり、施設見学などを通してユニットケアが実現可能か否かを判断する必要はあるでしょう。

 

 

 

 

特養ユニットケア 持ち込み可能である事の安心感~個性は物に表れる~

特養ユニットケア 持ち込み可能である事の安心感~個性は物に表れる~
従来型の特養では特別な私物を持ち込む事が出来ませんでした。
例えば、使い慣れたタンスや、亡くなった人の仏壇などを持ち込む事が出来なかったのです。

 
しかし、時代の流れや考え方の是正が行われ、徐々に「入居者を一人の人間」として大事な存在として支援していく動きに変わりつつあります。
新しい介護手法であるユニットケアを意識した特養では、その人のニーズに目を向け、一人一人の生活のリズムに沿った介護計画であったり、住環境を提供していくことが求められています。

 
人が持つ物には個性があり、更には生きてきた歴史の中で思い入れのある物が多いのですよね。
ユニットケアを意識した特養では自分の私物を持ち込む事が出来る事から、かつての「病院のようなしつらえ」から「生活の場」として大きく変わり始めています。

物を持ち込む事が出来る安心感が、よりユニット型の特養での生活を自分の居場所であると感じさせるのです。

例えばユニット型の特養では従来型の特養で持ち込む事が出来なかったお仏壇を持ち込むことも出来る施設もあります。(※ただし御線香は火を使わないタイプを使う事を求められる事があります)

 
また、ベッドのシーツも従来の真っ白なシーツだけではなく、色や柄物を用いたり、持ち込みのシーツを使う事が出来る施設も増えてきました。

 
ポータブルトイレであっても今までの「見ればトイレとわかる」ような見た目から、部屋の景観を壊さないような「椅子」のようなポータブルトイレを用いるところもあります。

 
このように、ユニット型の特養は今までの個性のない殺風景な病院のような場所から、より安心感のある生活の場へと変わりつつあるのです。

 

 

 

 

特養ユニットケア 家ではないからこそ家以上を目指す介護

特養ユニットケア 家ではないからこそ家以上を目指す介護
高齢者の気持ちとしては本音は家で生活したいと思っている人が大多数です。
高齢者のキモチとして家で生活したいという思いを「高齢者の気持ち 家で生活したいんだ!」で紹介しています。

高齢者の方の気持ちとしては家で生活したいという人は、高齢者のなかでも多くの割合を閉めます。

 
介護が必要のない若い世代であっても施設に積極的に入りたい!と考えている人は稀でしょう。
安心できる家で、今まで通りの生活を続けたいと感じる事が普通だと言えます。

 
2010(平成22)年に内閣府が60歳以上の人を対象に「虚弱化した時望む居住形態」の調査を行いました。

 
虚弱化という言葉では分かりにくいと思いますが、要するに老化して生きる気力を失ってしまった場合や、高齢にともなって病気や障害を抱えてしまった場合と考えるとわかり易くなると思います。

 
要するに介護が必要になった時、どこであなたは生活したいですか?という調査ですね。

調査結果を見ると「現在のまま、自宅にとどまりたい」「改築の上自宅にとどまりたい」と答える方が66.4%となり約7割近い人たちが虚弱化(介護が必要な状況など)しても、自宅での生活を続けたいと希望しています。
対して、高齢者用住宅や老人ホームへの入居については21.7%となり約二割の人が介護施設への入居を希望しています。

 
この事からわかる事は大多数の人が家で生活したいんだ!と思っているという事です。

 
高齢になって元気があってもなくても、家で生活したいと思う事は人としては自然の摂理のようなものなのでしょうね。

 
若い人でも環境が変わると適応するのに多くの体力を費やします、ましてや何らかの生活の不都合さを抱えた高齢者にとっては適応のための努力には大変な困難やストレスを伴います。

 
施設で働く介護職は、そのような施設を利用する方の気持ちを理解し、施設での生活が限りなくその人の以前の暮らしに近い物になるように環境を整備する事が必要になります。

 
従来型の特別養護老人ホームの介護は「集団生活を行う場所」という見方が強かったため、一人ひとりの生活の要望に対して目を向ける意識が薄い介護となっていました。

 
住環境だけでなく、介護職の対応も一人一人の生活の要望をかなえる為ではなく、日常を生き抜くための介護となってきてしまっていたのです。

 
しかし、ユニットケアでは「一人ひとりの生活の要望に目を向けた介護」へと変わりつつあります。
ユニットケアを意識した特養に入居し一人一人の生活の要望に目を向けた介護を受ける事により、より家庭的な生活をする事が可能になってきます。

 
ユニットケアが導入された介護であっても、特養に入居する人の中には「やはりここは自分の家ではない」と感じる人が多いものです。
入居者は家で生活しているわけではないという事を意識するとともに、特養の環境や介護職は家で生活する以上に、ひとりひとりの個性や生活のリズムに沿うような介護、居住環境の提供が求められていると言えるでしょう。

 

 

 

 

特別養護老人ホーム(特養)の今後の課題 古い考えとの対立

特別養護老人ホーム(特養)の今後の課題 古い考えとの対立
介護の世界に新しい風が巻き起こっているのに対し、「従来の介護」と「新しい介護」の考え方が対立する事が、これからの介護の課題を大きくします。

 
「今まで」は「集団行動」に着眼した、要するに「業務を主軸」とした考え方です。「これから」は「個人」に着眼した「個人を主軸」とした考え方となり、”軸”の捉え方が違う事による対立が今でも施設の介護士の中で対立を生む事があります。

 
今までのやり方も、”当時”は「正しい方法」として展開されてきた手法であり、現代では”悪役”を担う存在となってしまっています。
今までの方法をやってきた人も「良いこと」をしてきたプライドがある事で、新しい事を受け入れずらい傾向があります。

 
対して、今までを知らない「新しいやり方」を学んできた人が参入する事により、意見や方法の対立が発生してしまうのです。

 
今後はこの点がどのようにお互いの意見に落とし前をつけるかが課題になってきます。

 

 

 

 

特養ユニットケアについて 従来の介護と新しい介護 まとめ

特養ユニットケアについて 従来の介護と新しい介護 まとめ
「ユニットケア」とは、自宅に近い環境の介護施設で、他の入居者や介護職と一緒に生活をしながら、入居者一人ひとりの個性や生活リズムに応じて暮らしていけるようにサポートする介護手法のことを言います。

 
ユニットケアは、入居者の尊厳ある生活を保障し、一人ひとりの個性と生活リズムを尊重した「個別ケア」を実現する一つの手法なのです。

 
ユニットケアでは、人が生活する上で当たり前だったことを、介護が必要になったからあきらめるのではなく、当たり前だった生活を介護が必要になったとしても当たり前に送れるようにするという大義を持った介護手法なのです。

 
従来の特別養護老人ホーム(通称:特養)等の施設は、生活する場所というよりも病院のような印象を受ける施設でした
特養の部屋にあるベッドのシーツは真っ白であったり、特別な私物は持ち込む事が出来ないなど、一人の人間が自由に生活する場とは程遠い場所だったのです。

 
今までの特養は一人の人が生活する場所というよりも、集団生活をする場所であるという事が何よりも大事にされてきたのです。

 
特養でユニットケアを意識して働く職員は、より専門的な知識や経験を積み重ね、集団的に入居者を相手するのではなく、一人ひとりを大事にしたケアを心がけていく事が重要でしょう。

 
介護職員として働く場合であっても、入居者として特養を利用する場合であっても、新設の特養ではユニットケアを実現しやすいという特徴があります。
理由は特養が設立時に持っている住環境にあります。

 
今まで大部屋一つで何人もの入居者を見ていたのに対し、新しい介護手法であるユニットケアでは入居者はそれぞれ、自分の自由に使える空間として、個室を持ちます。

 
大部屋を取り壊し、ユニット型に切り替えるには入居者の人数や環境上、限界がきて無理が生じてしまいます。
また、従来型の介護施設がユニット型の介護施設になるための工事費などは施設負担となります。

 
特養はそもそも営利を目的としてはいけないという福祉の制約があるため、よりユニット型への切り替えが困難である現実があるのです。

 
それに対し、新設のユニットケアを意識した特養は最初から入居者一人ひとりが自由に使える個室を意識した作りとなっています。
つまりは、最初からユニットケアが実現できる状況にあるため、介護職員もユニットケアを意識しやすいのです。

 
従来型の特養では特別な私物を持ち込む事が出来ませんでした。
例えば、使い慣れたタンスや、亡くなった人の仏壇などを持ち込む事が出来なかったのです。

 
しかし、ユニットケアを意識した特養では自分の私物を持ち込む事が出来る事から、かつての「病院のようなしつらえ」から「生活の場」として大きく変わり始めています。

 
このように、ユニット型の特養は今までの個性のない殺風景な病院のような場所から、より安心感のある生活の場へと変わりつつあるのです。

 
高齢者の気持ちとしては本音は家で生活したいと思っている人が大多数です。

 
ユニットケアが導入された介護であっても、特養に入居する人の中には「やはりここは自分の家ではない」と感じる人が多いものです。

 
入居者は家で生活しているわけではないという事を意識するとともに、特養の環境や介護職は家で生活する以上に、ひとりひとりの個性や生活のリズムに沿うような介護、居住環境の提供が求められていると言えるでしょう。

 
介護の世界に新しい風が巻き起こっているのに対し、「従来の介護」と「新しい介護」の考え方が対立する事が、これからの介護の課題を大きくします。

 
今までのやり方も、”当時”は「正しい方法」として展開されてきた手法であり、現代では”悪役”を担う存在となってしまっています。
今までの方法をやってきた人も「良いこと」をしてきたプライドがある事で、新しい事を受け入れずらい傾向があります。

 
対して、今までを知らない「新しいやり方」を学んできた人が参入する事により、意見や方法の対立が発生してしまうのです。

 
今後はこの点がどのようにお互いの意見に落とし前をつけるかが課題になってきます。

 

 
最後までお読みいただきありがとうございました。

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