介護の精神と社会

介護という人々を支える仕事について精神面や法制度などを交え 解説しています。

【認知症】記憶障害の対応 うまく付き合う行動と考え方

      2017/04/04


高齢社会に入り、世間的に認知症の人とかかわる事が多くなってきました。
家族・知り合いのみならず、企業であっても認知症の人の対応をする事が多くなってきています。

とはいえ、一番認知症の人と関わりがあるのは、医療の現場や介護職員、家族、親戚や友人関係ではないでしょうか。
認知症の人の対応に頭を悩ませる人も居る事でしょう。

認知症の人の対応には認知症への理解のほか、認知症によっておこる症状への対処法を知っている事が重要です。
ここでは認知症の人の対応について理解を深めていきましょう。

 

 
【認知症】記憶障害の対応 うまく付き合う行動と考え方

 

 

認知症の症状

認知症の人に対応するには、まずは認知症そのものの症状から理解をしていきましょう。



認知症の症状は細かい症状まで見てみると実にさまざまな症状があります。
しかし、認知症の症状を大きく分けてみると、二つの症状に分けられる事が一般的です。

1つめが、「中核症状」2つ目は「周辺症状」と呼ばれる物です。

認知症の「中核症状」
中核症状は認知症になると必ず起きる症状で、主に脳の機能障害からくる症状です。
主な症状としては次のような症状があります。

  • 記憶障害
  • 見当識障害
  • 判断力の障害
  • 言葉の障害(失語など)
  • 実行機能障害(遂行機能障害)
  • 抽象思考(イメージ)の障害
  • 失行(行動の障害)
  • 失認(認識の障害)


認知症の「周辺症状」
周辺症状については認知症の中核症状を中心として、二次的に起きてくる症状です。
周辺症状には個人差があり、同じ認知症でも人によって症状のでかたが変わってきます。

たとえば、自分がどこにいるかわからなくなる「場所の見当識障害(中核症状)」の為、家の近くでも出かけたまま帰り道がわからなくなることで、結果として「徘徊」という周辺症状に発展する事があります。

周辺症状は認知症が重くなるにしたがって起きやすくなります。
良く見られる認知症の周辺症状には次のような症状があります。

  • 抑うつ状態
  • 妄想・幻覚
  • 介護に対して抵抗する(介護拒否)
  • 不眠
  • 徘徊
  • 異食
  • 焦燥
  • せん妄
  • 多動・興奮
  • 攻撃的言動・行動
  • 外出して迷う
  • 不潔行為



認知症の症状の特徴
認知症の症状である「中核症状」や「周辺症状」は認知症の原因が無ければ起こりませんが、本人の健康状態、心理的な状態、そして、どのような介護を受けているかなどの環境によって、症状の出方は大きく変化します。

詳しくは「【認知症】認知症の症状 認知症になるとどうなるの?」で紹介しているのでチェックしていってください。

 

 

 

 

認知症の人の対応


認知症の症状の内、周囲の人が振り回されがちなのは「周辺症状」です。
認知症の人の周辺症状は個人差があり、状況や環境に合わせた対応が必要になってきます。

 
認知症では介護者が行ったことをすぐ忘れたり、何回も同じことを言ったり、聞いたり、物をしまい忘れたり置き忘れたりといった事も起きるようになります。
また、水を出しっぱなしにしたり、食事をとったことを忘れたり、同じものをしょっちゅう買ってくると言った事も起きます。

 
認知症の記憶障害によって日常生活に支障をきたしていると言える状態なので、介護者や周囲の人も「記憶障害の症状である」という事を認識し、その人に合わせた対応を心がけていく必要があります。

 

ここでは、認知症の症状について代表的な症状と対応を例を交えて紹介していきます。

 

 

 

介護者が言った事をすぐ忘れる

「おばあちゃん、まだ洗濯物干してないの?」と嫁の問いに、「誰が干せっていったの?」と喧嘩腰。こんな事を毎日繰り返してはいませんか?
認知症の症状の一つ、記憶障害の例です。

 

当然ついさっき嫁がお願いした洗濯物干しのことなど覚えていません。本人にとっては今聞いたばかりの事なのです。
言った、言わないの論争をしていたら日が暮れてしまいます。

 

「出来事の記憶をなくしている」とあきらめ、お願したことやいった事を忘れているようなら、また同じことを伝えていきましょう。
「まったくもう」と思ったら、ストレスとイライラの原因になるだけですから。

 

 

 

何回も同じことを言ったり聞いたりする

認知症の初期症状の代表例です。
歳をとっただけでもこのような変化が現れますが、ここ半年くらいの間に目立ってきたような場合には医療機関を受診するタイミングです。

記憶の障害のために、言ったり聞いたりしたことを忘れてしまい、何回も言ったり聞いたりする行動になります。

本人は、もちろん、何回も言ったり聞いたりしているつもりはありません。初めて言ったり聞いたりしているつもりです。
言われたり、聞かれたりする介護者は、初めてではないわけですから、つい「だから」という受け答えになってしまいます。

言われたお年寄りは、なぜそんなことを言われなければならないのか、と思ってしまいます。
妻や夫が介護者である時に、「些細なことで手を上げられるんですが」と相談に来られることがよくあります。
よく話を聞いてみると、同じことを何回も言われたりした時に、「だから」とつい言ってしまっています。

言われたほうはいなぜだかわかないために、手を上げてしまうことにもなります。

 

 

 

物をしまい忘れる、置き忘れる

以前はそんなことはなかった人に目立つようになった時は、歳のせいと済ませてしまわないで医療機関を受診するようにしましよう。

認知症の比較的軽い時期の日常生活上の変化である可能性が高いからです。

置き忘れが目立ってきたりすると、物を置く場所を決めておけばいいんじゃないかと考えるのが普通でしょう。

本人はなんとなく忘れっぽくなってきたという感覚があっても、自分の物忘れの程度を自覚していないことが多いために 、そんなことはしなくても大丈夫と思ってしまいます。
そのため、置き場所を決めておくようにしようとしてもあまり役には立ちません。
また、大事なものであればあるほど、ちゃんとしまっておこうとするために、後からその場所を見つけることは容易ではなくなってしまいます。

銀行の通帳や印鑑などをしまいこんで見つけられなくなり、何回も再発行してらうことになってしまうのはいい例です。

認知症が進めば終日探し物をしていることもあります。
時間に余裕があれば一緒に探すこともできるかもしれませんし、探し物をしているだけなら、そのままにしておいてもいいかもしれません。

 

 

 

水を出しっぱなしにしたり、ガスを消し忘れたりする

これは女性に多い症状といえます。これからは違うかもしれませんが、 いままでは女性が家事を担っていることが多く、大きな役割になっていたからです。

 
認知症になっても、その役割を果たそうとする気持ちは残ります。
そのために以前と同じようにできなくなっていたとしても、台所に立とうとします。
でも、認知症の人は同時に2 つのことをすることができません。その結果、水を出しっぱなしにしたり、ガスを消し忘れて鍋を焦がしてしまうことになります。
このような状態が起きてくると、ふつうは「危ないからもうガスを使わないでください」と言われて家事を担うという役割から遠ざけられてしまいます。あれもだめこれもだめと言われ、することがなくなっていってしまいます。

 
どの家族にもできることではありませんが、理想的にいえば、できることはやってもらう、つまりできる役割は担ってもらったほうが病気に対しては好ましい効果をもたらします。
日中独居で家族が見守りをすることができなければ介護保険のサービスを利用することも考えましよう。

 

 

 

食事をとったことを忘れる

「こはん、まだですか?」認知症に典型的なフレーズとしてよく使われますが、食べたことを忘れてしまうという症状も記憶に関する症状です。
何を食べたかを忘れるのではなくて、食べたこと自体を忘れるわけです。

つまり、体験の一部を忘れるのではなく、体験したことすべてを忘れてしまうことが記憶障害の特徴になります。
目の前に食べた食器が残っていたとしても、介護者が食器を洗っていたとしてもさっき食べたということには結びつきません。
いくら状況を説明 しても本人を納得させることはできません。
最後には、「だますな」と怒ることすらあります。

いくら一生懸命説明しても疲れるだけですし、それに費やす工ネルギーは莫大です。
このような時には、食べていないことを否定しないで、一緒に何か作るようにしてもいいでしょうし、それがだめであれば簡単なものを食べてもらってもやむを得ないでしよう。

 

 

 

同じものをしょっちゅう買ってくる

認知症の初期にみられやすい症状です。このような変化で認知症に気づかれることもあります。
多少のことであれば、誰にでもあることかもしれませんが、いままではそういうことがなかったにもかかわらず、最近目立つようであれば、ためらわず医療機関を受診してください。

 

この症状は日用品の買い物でみられることが多く、小遣い程度の金額ならば、あまり実害はないかもしれません。
また、冷蔵庫に賞味期限が過ぎたものがいっぱい残っている場合でも同じです。この場合は、介護者が気づいても、そのことは特に指摘をしないで、なにげなく始末しておけばいいでしよう。

 

いっぽう、高額な場合もあります。健康器具や羽根布団などがその例です。
昼間一人でいる時に悪質な訪問販売に編されることがあるからです。時々は銀行の通帳とか契約書の有無に気をつけましよう。

 

不審な契約書があったりした時には、その地域の消費者センターに相談しましよう。このようなことが繰り返されるようであれば、成年後見制度を利用することをぜひ検討してください。相談は、その地域を担当する地域包括支援センタ一でできます。

 

 

 

 

認知症の対応 あわせて知っておきたい


【認知症】認知症の人への対応 わけわからない!を解消しよう

高齢化社会に入り、世間的にも注目されつつある「認知症」
一般的な認知症の症状としては「物忘れ」ではないでしょうか。

 
しかし、実際に認知症の人の人を対応したことのある人は「えっなんでそんなことをするの?」と疑問に思うような行動を目の当りにする事もあったのではないでしょうか。

 

認知症の人への対応は、一般的な人間関係とは異なる対応が必要になってきます。
では、今後関わっていく可能性の高い「認知症」の人へどのように対応し関係を築いていけばよいのでしょうか。

 

認知症から来るさまざまな症状とその原因毎に対応を方法を述べています。

詳しくは「【認知症】認知症の人への対応 わけわからない!を解消しよう」で紹介しているのでチェックしていってください。

 

 

 

 

まとめ:記憶障害の対応 うまく付き合う行動と考え方



認知症の症状の内、周囲の人が振り回されがちなのは「周辺症状」です。
認知症の人の周辺症状は個人差があり、状況や環境に合わせた対応が必要になってきます。

 
認知症では介護者が行ったことをすぐ忘れたり、何回も同じことを言ったり、聞いたり、物をしまい忘れたり置き忘れたりといった事も起きるようになります。
また、水を出しっぱなしにしたり、食事をとったことを忘れたり、同じものをしょっちゅう買ってくると言った事も起きます。

 
認知症の記憶障害によって日常生活に支障をきたして言える状態なので、介護者や周囲の人も「記憶障害の症状である」という事を認識し、その人に合わせた対応を心がけていく必要があります。

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