介護の精神と社会

介護という人々を支える仕事について精神面や法制度などを交え 解説しています。

【認知症】情緒不安定な人への対応

   



周囲から見て認知症の人は感情的な表現が強く見られ、場合によっては対応が難しく感じる事があります。
突然笑い出す人も居れば怒り出す人も居る、ネガティブな発言が多い人などさまざまなタイプの人がいます。

情緒不安定で適切な感情表現が出来ていないと、人にとっては不気味に思ってしまう人も居るでしょう。
場合によっては周囲の人の精神負担となる事も少なるありません。

認知症の人は情緒不安定になりやすく、周囲の人もそれに振り回される事も少なくないこの状況をどのように乗り切っていけばよいのでしょうか?
認知症で情緒不安定になった人への対処方法についてみていきましょう。

 

 
【認知症】情緒不安定な人への対応

 

 

認知症が情緒不安定にさせる理由


【認知症】なぜ感情が不安定になるの?

認知症の人は脳の委縮や機能障害により状況判断が出来なくなり、周囲の環境に影響を受けて感情が不安定になりやすくなります。

 

認知症では知能や意欲に比べて、感情は最後まで保たれやす いといわれていますが環境に対する快不快の感情はきわめて直接的に表出されます。
しかし、やはり認知症が進行するに伴って、喜怒哀楽が少なくなり、人、時、場所に適した感情の表出ができにくくなります。

 

さらに、ちょっとしたことに対して反応してしまい不安定になりやすくなります。

詳しくは「【認知症】なぜ感情が不安定になるの?」で紹介しているのでチェックしていってください。


 

 

 

 

感情が不安定になった人への対応

感情が不安定になった人は、さまざまな形でその感情を表現します。
暴力であったり、ネガティブな発言であったり、大声であったり、意欲が低下したりと人にとって症状の現れ方は違います。

 

介護者はまず、その人の行動で感情が不安定になった時にどのような症状が出やすいかを把握する事が介護負担を軽減する上でポイントとなってきます。

 

では、実際に感情が不安定になった人への対応を事例別にみていきましょう。

 

 

 

些細なことで手を上げたり乱暴な行動をとる、暴言を吐く


【認知症】暴力的な人への対応

認知症が進行すると感情が不安定になりやすく、些細なことで手を上げたり乱暴な行動をとったり、暴言を吐くという行動として現れることがあります。

 

もちろん、介護者や家族の対応がきっかけになることが多く、何のきっかけもなく突然に乱暴な行動をとったり、暴言を吐いたりする事は稀と言っていいでしょう。

 
介護者となる人は、自分の対応次第で「認知症の人は些細な事で手を上げたり乱暴な行動をとる、暴言を吐く」という事を理解して対応しましょう。
一方で、「これは認知症の人にとって人が持つ野性の防衛反応なのだ」という事も忘れないようにしましょう。

詳しくは「【認知症】暴力的な人への対応」で紹介しているのでチェックしていってください。

 

 

 

感情のコントロールが出来ない(感情失禁)

感情が不安定になりやすいことは先に触れましたが、特に血管性認知症では、感情の不適切性が目立って現れることがあります。
悲しいことを聞いたわけでもないに急に泣き出したり、あるいはおかしいことではないのに笑い出したりすることがあります。

こうした場にそぐわない感情の現れ方は感情失禁と呼ばれ、主として前頭葉の働きの障害と考えられています。

この症状は家族や介護者の対応によってコント口ールできる症状ではないし、有効な薬物療法もありません。
しかし、感情失禁の結果、手を上げてしまうという行動が現れることもありませんから、本人や家族にとって危険となったり、負担が大きいという症状ではないでしよう。
 

 

 

不安感が強い

認知症に伴う最初の変化には誰が最初に気づくのでしようか。日常生活でさまざまな変化がみられれば家族かもしれません。
しかし、それ以前に、いままでできていたことができなくなってきた、覚えられていたことを覚えていられないという変化に気づくのは本人のはずです。

そのことをうまく言葉で表すことができるかどうかは個人差が大きいでしよう。
これからどうなっていくのかを考えれば不安になることは誰にとっても当然ではないでしようか。
このような不安感は認知症の初期の大きな特徴です。
認知症がある程度進んだ時期で状況がわからないまま説得され続けたりすると不安な状態になることもよくわかります。
酷くなれば混乱状態に陥ってしまいます。

このように認知症は周囲の対応によって容易に不安状態になります。一度不安な状態になってしまうと、ますます状況を判断する力がなくなるという悪循環になってしまいます。
この不安状態のために妄想が生じてくることもあります。つまり、認知症の人にとって、多少の失敗や記憶の障害があっても安心していられる環境がベストです。

同じことを何回言っても、「だから」「また」と言われることもない。失敗しても、それを指摘されることもない環境であれば、記憶の障害があっても不安になることなく、落ち着いて生活することができます。
このような環境が認知症という病気の進行にとって、とてもいい結果をもたらすことが知られています。

 

 

 

心気的な訴え(体の不調を訴える)

胸が苦しいと何度病院を受診しても、何でもないですよ、と言われた経験ありませんか。
実際には体に悪いところがないにもかかわらず、あちこちの身体の不調を訴える状態を心気といいます。

何回も続くと、家族は「また…」と思いがちですが、どんな場合でもが悪いところがないことを確認しなければなりません。

心気状態は認知症が無くても高齢者で起きやすい症状ですが、認知症でも心気状態が主な症状となる事があります。
不安感が強い場合に見られることもありますが、きっかけなどが何もないのに現れる事もあります。

薬物療法の対象となる事もありますが、あくまでケースバイケースの対応が必要です。
苦しがっている時、痛がっている時など、そばにいて温めたり冷やしたり、さすったり何らかのかかわりを持つと落ち着く事も多いようです。
昔からのかかりつけのお医者さんが威力を発揮する場面でしょう。

 

 

 

叫ぶ、大きな音を出す

「叫ぶ」「大きな音を出す」これも認知症ではしばしばみられる症状で、ある程度進行した認知症にみられます。
夜中にこうした症状が目立つと、家族は眠ることがほとんどできなくなり大きなストレスになります。

夜中に起きることが多い場合は、睡眠の障害と関連していることが多いようです。
夜間に覚醒して不安な状態になり不穏な状態に陥ってしまいす。夜間せん妄でもみられる症状です。生活循環をよくするなど健康状態を整えることから始めて睡眠覚醒リズムの調整が必要です。

薬物療法になることもあります。昼夜を問わず、叫ぶ、大きな音を出すという状態が続くことがあります。
先と同様に身体的な状態を整えることが先決ですが、その次に、デイサービスなどを利用して夜間と昼間の区別をつけていくことになります。
この時期の認知症であれば軽度ということはありませんから、要介護度からしてもかなり頻繁にサービスを利用することができるはずです。
睡眠リズムの調整に薬物療法が必要なこともあります。
 

 

 

一人にされる事を嫌がり家族から離れない

少しでも本人の視界から家族、特に介護者がいなくなってしまうと極端に落ち着かなくなってしまうことがあります。
デイサービスを利用してもらおうと思っても、介護者と離れると不穏になってしまうため介護者がー緒に出かけざるを得なくなります。

嫉妬妄想があるために介護者から離れる事ができない場合などを別にして、特に明らかな理由がない場合には少しずつ本人から離れるようにすればうまくいくことが多いようです。
この症状のために一人でデイサービスに参加できるようになるまで半年かかった例がありますが、最後までどうしても一人で参加できなかった例は経験したことがありません。

このような試行錯誤を繰り返すためには、もちろん介護者の根気強い協力に加えてサービスを提供するスタッフの理解が必要なことは言うまでもありません。

 

 

 

予定などを予め言われると落ち着かなくなる

「明日は外来に行く日ですからね。朝8時頃には家を出ますから」などと伝えると、早速出かける用意をして、「何時に出るんだっけ」なども聞いてくることがあります。

「明日ですよ」と何度も言っても、落ち着かない様子で不安げに玄関で待っていたりします。
状態は特別な症状の名前が付けられていますが、それはともかくとして、基本的には記憶の障害による症状です。

そのため、直前に言えば言ったで「そんなことを直前に言われても・・」と嫌な顔をされます。
どういうタイミングで声をかければいいのか決まっているわけではありませんが、少なくとも、数日前に伝えるよりは2〜3時間前程度がいいようです。

その結果、起きてくる可能性がある症状をわかっていれば少しは落ち着いて対応できるのではないでしようか。

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