介護の精神と社会

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【認知症】失認への対応 本人の「わからない」に注意してあげよう

      2017/04/04


認知症の症状の一つである「失認」は周囲の人にとって「何でそんなことするんだろう」と不思議に思ったり、時にはイライラしてしまう事も少なくはないでしょう。

本人に悪気が無かったとしても、その対応をどうするか考えるのは難しいものです。
失認に対する対応を考えていくには、失認とはどんなものなのかという事に加え、どのように考えていけばよいかヒントが欲しいところですよね。

この記事では、認知症の失認によって起こる症状の具体例と、その対応方法について述べています。
是非、認知症の方のケアをする人にとってお役にたてればと思います。

 

 
【認知症】失認への対応 本人の「わからない」に注意してあげよう

 

 

認知症の「失認とは」


認知症の失認によって起こる症状に対応するには、「失認」がどんなものなのか理解する必要があるでしょう。


【認知症】失認とは

認知症の失認とは視覚や聴覚に異常がないにもかかわらず、目の前にあるものや聞いたものが何であるかわからなくなる状態です。
つまり目や耳から入った情報が正しく認知されない状態をいいます。

詳しくは「【認知症】失認とは」で紹介しているのでチェックしていってください。

 

 

 

 

失認によって起こる症状と対応


失認は状況やもの事、物を正しく認識できない事で適切な判断を下せなくなる状態なので、日常生活のあらゆる点で支障をきたします。
金銭・食べ物・場所・人物など症状の現れ方は個人によって多岐にわたって表れてくるのです。

自分の家に居るのに、家に帰ると言ったり、話している相手を他の人と間違えたりもします。
食べ物で無い物を口にしたり、お金の単位や計算が出来なくなってくると言った事も起きてきます。

場合によっては命の危険もある事もあるので、周囲の人はどのような症状が特に起きるのか注意深く観察し、本人にとっての危険を遠ざけるような配慮をしておく必要があるでしょう。

では、具体的にそれぞれの症状に対し、どのように対処していけば良いのでしょうか。
実例と対処方法についてみていきましょう。

 

 

 

お金の単位がわからない、計算ができない

(認知症高齢姉妹、悪質リフォームで全財産をだまし取られる)
2003年5 月、埼玉県富士見市に在住の認知症の高齢姉妹(80歳と78歳)が、3年間に5000万円以上のリフォーム工事を繰り返し 、代金が払えず自宅が競売にかけられたという記事が報道されました。。

床下に不要な換気扇が20~30個も付けられたり、わずか11 日間で5 回、 計673万円の「シロアリ駆除」や「床下調湿」などの契約を結んだ会社もあったそうです。

この姉妹は、リフォームしたという出来事に対する記憶障害、本当にリフォームが必要なのかという判断力の低下、そして金銭に関する感覚の障害があるため、こうした事件に巻き込まれてしまいました。

お金の単位がわからなくなることは失認でも起こりますが、認知症の症状として計算自体の障害も現れてきます。
本人のそれまでの生活スタイルにもよりますが、小さい額の買い物でも大きなお札を出してお釣りをもらい、財布の中が小銭でいっぱいになっていることが認知症の初期の症状としてみられることがあります。

細かいお金の計算もできなくなったから、買い物はさせないというのではなく、1000円をだしておつりをもらえるような配慮が必要になってきます。
大きな単位の金額を扱う場合は、家族、後見人などに頼る事も出てくるでしょう。

金銭に関わる問題は、認知症の人にとってとても難しい話です。

 

 

 

食べ物で無い物を口にする

異色は、食べる物か否かの認知・判断ができないため、食べ物ではないものがおいしそうに見えます。

 

先日イベントの時、不用意にテーブルの上に置いてあったいくつかの写真のフィルムを何人かの認知症のおばあさんが取り囲み、一人のおばあさんが「これおいしいのよ。召し上がって」と、フィルムを手に取って他のおばあさんに勧めていました。

 

石けんや消毒薬、目薬など危険な物や便、土、泥など不潔な物などの認知や判断ができないい状態なのです。
人間の扱う物は意外と危険な物、不潔な物が多いものです。

 

皆さんも生活場をぐるりと眺めてみてください。食べられないものがたくさんあります。
すべて取り去ってしまうと生活ができません。いつもいつも気配りをしながら生活をする側にとっては、大変な精神的ストレスとなります。
食べられないものというより、危険な物を優先的に目に触れさせないような対応が必要でしょう。

 

危険物は高い場所、気がつかない場所あるいは鍵のかかる場所に移動しておきましよう。

 

 

 

自分の家なのに、家に帰るという

「大変お世話になりました。これから家に帰ります」と丁寧に挨拶をして、玄関を出て行こうとするBさん。後ろから「80年もここで暮らしているのに!」と怒鳴っている娘。
自分の家にいながら、「家に帰る」という話をよく聞きます。

 
このような症状は認知症ではとても多い症状ですが、失認だけで説明できないかもしれません。
自分の部屋やその周辺を別宅のように感じてしまうことが考えられます。それに加え「居心地の悪さ」もあるでしょう。
いままで家を仕切ってきたはずなのに、「何もしなくていい」「よけいなことはしないで」と言われ、叱られる。家と認識していないのに、「家です」と言われるのは本人にとっては腹立たしいことです。

 

「送って行きましよう」「一緒に行きましよう」と出かけるのもーつの方法です。また家を出る前に、お茶に誘って話題や気分を変えることを心がけましょう。

 

 

 

人物を間違える「人物誤認」

人所している男性を夫と人物誤認をしたある女性は、その男性の徘徊にいつも寄り添い歩いていました。
時には身体を気遣ったり、優しく話しかけたりと。

 

その男性は視空間失認があり、時々手すりと自分との空間距離を間違えて転びそうになりますが、さっと手をさしのべるのもその女性でし。
しかし先日、とうとうかばいきれす、二人とも転倒、骨折という悲劇を起こしたのです。

 

前掲のBさんが娘に丁寧に挨拶をしていたのも、人物誤認と人の見当識障害からくるといえるでしょう。
息子を夫と、夫を息子と。夫と人物誤認された息子の嫁は、夫をとる悪い女とまで問題が発展してしまうのです。家族ことっては悲しい出来事です。

 

別人と認識してしまった事実に抵抗しても無駄です。本人の中では、愛している息子だったり夫だったりするわけですから。人物誤認を受け止めるのが話をこじらせないことになります。
思い出をたくさん持つ家族にとっては残酷なことかもしれませんが、否定すればするほど本人は混乱するかもしれません。悲しい話ですね。

 

 

 

 

認知症の対応 あわせて知っておきたい


【認知症】認知症の人への対応 わけわからない!を解消しよう

高齢化社会に入り、世間的にも注目されつつある「認知症」
一般的な認知症の症状としては「物忘れ」ではないでしょうか。

 
しかし、実際に認知症の人の人を対応したことのある人は「えっなんでそんなことをするの?」と疑問に思うような行動を目の当りにする事もあったのではないでしょうか。

 

認知症の人への対応は、一般的な人間関係とは異なる対応が必要になってきます。
では、今後関わっていく可能性の高い「認知症」の人へどのように対応し関係を築いていけばよいのでしょうか。

 

認知症から来るさまざまな症状とその原因毎に対応を方法を述べています。

詳しくは「【認知症】認知症の人への対応 わけわからない!を解消しよう」で紹介しているのでチェックしていってください。

 

 

 

 

まとめ:失認への対応 本人の「わからない」に注意してあげよう



認知症の失認によって起こる症状に対応するには、「失認」がどんなものなのか理解する必要があるでしょう。


失認は状況やもの事、物を正しく認識できない事で適切な判断を下せなくなる状態なので、日常生活のあらゆる点で支障をきたします。
金銭・食べ物・場所・人物など症状の現れ方は個人によって多岐にわたって表れてくるのです。

自分の家に居るのに、家に帰ると言ったり、話している相手を他の人と間違えたりもします。
食べ物で無い物を口にしたり、お金の単位や計算が出来なくなってくると言った事も起きてきます。

場合によっては命の危険もある事もあるので、周囲の人はどのような症状が特に起きるのか注意深く観察し、本人にとっての危険を遠ざけるような配慮をしておく必要があるでしょう。

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