介護の精神と社会

介護という人々を支える仕事について精神面や法制度などを交え 解説しています。

【認知症】現実を取り違える、事実と異なる事への対応方法

      2017/04/04


認知症の人は、認知症からくる症状の為、現実を取り違えたり、事実と異なる事を言ったりする事も多いです。
これは認知症の記憶障害などから記憶違いのほか、状況を正しく認識できていなかったり、認知症の周辺症状による精神的な弊害からくることが多いです。

また、認知症によって脳の働きに偏りが生じていれば感情を抑える事が出来なくなる事も少なくありません。
では、現実を取り違えたり、事実と異なる事を言う人にはどのような対応すれば良いのでしょうか。

具体例も交え見ていきましょう。
【認知症】現実を取り違える異なる事への対応方法

 

 

現実を取り違える認知症の症状とは


認知症では記憶の障害をはじめとしたさまざまな障害のために周囲の状況を正しく把握して適切な行動をとることが難しくなります。
現実を取り違えることも認知症の人にはしばしばみられます。現実にはない出来事・事柄を間違った判断で思いこんでしまい、訂正することができない状態を「妄想」といいます。

場合によっては、妄想の対象が一番身近で世話をして<れる人になる場合もあります。取り違え方もどちらかというと、被害的に受け止めてしまうことが多くみられるようです。
いろいろな障害を自分自身で客観的に理解できれば、どのような手助けが必要なのか周囲に伝えることができますが、自分自身では何となくしかわかっていないため、本人がどんな手助けを必要としているのかを察知することが必要になります。

 

 

 

 

現実を取り違える、事実と異なる事への対応


現実を取り違える、事実と異なる事を言う等は認知症の周辺症状の内「妄想」と呼ばれる状態である事が多いです。
物盗られ妄想、被害妄想、嫉妬妄想といった具合に、その人の置かれている状況、今までの生活などから様々な妄想が出てくる事が多いです。

記憶そのものが消えてしまったり、思い出す事が出来ない記憶障害や他の状態とは異なり、ある現実を別の現実として受け止めてしまう事が多いです。
また、他の人に取り違えた現実をいって周囲の人を混乱させる事もあります。

このような場合は、予め周囲の人に認知症の症状があり、現在妄想の症状が強く出ているという事を予め伝えたり、医師に相談したり、介護サービスの利用を検討する事も必要になってくるでしょう。

何より、一人で抱え込まずに対応する事が一番のポイントとなってきます。

では、現実を取りたがえたり、事実と異なる事を言う認知症の人に具体的にどのように対応すれば良いのでしょうか。
実例と共に対応方法を見ていきましょう。

 

 

 

物盗られ妄想

盗られたという財布を、お嫁さんや娘さんが一生懸命に探し「ほらここにあったよ」と財布を持っていけば、「なんだ、あんたはそんなところに隠していたのか」という怒りが返ってきます。また、息子がリフオーム詐欺にあわないようにと、本人とよく話し合い銀行の通帳を預かった後で、本人はそのことを忘れ、息子に通帳を盗られたと訴えることもあります。

認知症では記憶の障害が主な症状ですが、そのために日常生活にどのような支障があるのかを客観的に理解できないことがあります。
そのような場合には、しまい忘れたり、置き忘れたりしたことをわかっていないために「誰かが盗った」と思い込んでしまいます。
この状態を「物盗られ妄想」といいます。

ある日突然、泥棒呼ばわりされたり、盗っていないのに、「盗った、盗った」と疑われたりすることは、かなりの精神的ストレスになります。
この繰り返しはたまったものではありません。

物盗られ妄想は生活環境や嫁姉関係、親子関係あるいは財産に関係して現れることもありますし、デイサーピスやショートステイの利用などの環境の変化で症状がなくなることもあります。

サービスを利用してできるだけ本人と物理的な距離を置くことも一つの方法です。
物取られ妄想がこうじて興奮状態になったり、介護者に手を上げたりするような場合には薬物療法が必要になることもあります。

 

 

 

 

被害妄想(見捨てられ、いじめ)

被害妄想の人は、私を勝手に老人ホームに入れようとしているなどと確信してしまうので、いくら説明しても聞き入れません。
「みんなで私をだましている」というような最悪の状況を招くこともあります。

認知症では物盗られ妄想以外にも見捨てられ妄想などの被害妄想が出現します。このように本人が確信している場合、理路整然とした説明や説得はたいてい役に立ちません。

物盗られ妄想と同じように、生活環境や嫁姉関係、親子関係あるいは財産に関係して現れることが多いようです。物盗られ妄想も被害妄想の一つですが、どちらかというと、認知症が軽度の時のほうが確信がしっかりしていて、訴える内容も詳しく、実際のことを知らない人が聞けば本当かもしれないと思ってしまうほどです。認知症が進むと、妄想の内容も漠然とした内容になり、確信も薄らぐようです。被害妄想には、食事に毒が入れられているなどという被毒妄想もあります。

信頼関係のある同居していない親族、あるいは近所の友人、ケアマネジャーやヘルパー、デイサービスのスタッフなどの第三者に本人の話を聞いてもらうこともできます。
間いてもらう時には、妄想を肯定するような間き方ではなく、あくまでそういう体験をしている本人の立場や気持ちに共感するような聞き方(たとえば「そんな風に感じたり、思ったりすることは切ないわねえ」)などをお願いしてみましよう。それでも頑固に妄想が続く時は専門医に相談してください。

 

 

 

実際にない物が見える(幻視)、聞こえる(幻聴)

「ほらそこに子供たちが来ているだろう。お腹が空いているに違いないから何か食べるものをあげなさい」とか「いま外に親戚のものが来ています。迎えに行かないといけないので玄関を開けてください」などと、実際にないものが見えたり(幻視)、間こえたり(幻聴)することがあります。
多くの場合は、夜中にせん妄状態を起こし、その時に幻視、幻聴がみられます。

認知症ではせん妄が起きやすくなりますが、逆にせん妄を起こして、うちのおじいちゃんが急にぼけてしまったといって受診することもあります。
せん妄が数日にわたって続くような時はその原因の検査が必要です。服用している薬の加減、脳血管障害などの身体の病気、あるいは環境の変化などがあります。病院に入院した夜にせん妄を起こすことはしばしばあります。

せん妄状態では、まず本人の安全を確保することが重要です。1階だと思って、2階の窓から外に出ようとするなどの行動があるからです。
せん妄は意識障害の一つなので、翌日には夜中にあったことをほとんど覚えていないという特徴があります。明らかな原因がない時には、せん妄はうつ状態とともに薬物療法の対象になります。

幻視が特徴的にみられるレピー小体型認知症があります。手のふるえや歩行障害などのパーキンソン症状を伴うことが特徴です。
幻視の内容を明瞭に覚えていて説明することができます。この病気の場合には、よく効く薬がありますので、専門医に相談してください。

 

 

 

 

作り話をして周りに言いふらす(作話)

実際には、どこにも出かけていないにもかかわらず、最近どこかに出かけましたか、と尋ねると、「ええ、この前デパートに行ったらセールをしていたので久しぶりに自分の洋服を買ったんです」などと答えます。
「うちの嫁はほんとうにひどいの。ごはんをせんぜん食べさせてくれないの」とか、「うちの息子は私の通帳から知らない間に私のお金を引き出しているの」などという作り話を近所に言いふらされる場合があります。身なりや足腰がしっかりしている人がこのようなことを言えば、言われた方は信じてしまっても不思議ではありません。

作り話(作話といいます)をすることはアルツハイマー型認知症の特徴です。作話にはいくつか種類がありますが、自分の記憶が抜けている部分を補うように話を作ってしまいます。
このような場合、本人に問いただしても、「そんなことは言ってませんよ」で済まされてしまいます。隣近所の人たちに様子を伝えておくに限ります。地域によっては、恥ずかしくてそんなことは言えない、近所に知られては困る、ということがありますが、いずれわかることです。
改めて周りの家を訪ねて事情を説明するというよりも、ゴミだしの時、近所の人たちに顔を合わせた時に、それとなく伝えることもできるのではないでしようか。

作話への対応だけではなく、周囲の人たちの理解を得ておくことは、在宅で認知症を介護してい<上で、さまざまな場面で役に立つことを覚えておいてください。多少とも他人事ではない家が多いはずです。家族が留守をした時、本人の様子を教えてもらえ役立つこともあります。

 

 

 

 

嫉妬妄想

物盗られ妄想や見捨てられ妄想に次いで、認知症では嫉妬妄想がしばしばみられます。
嫉妬妄想は男性の認知症だけではなく、女性の認知症でもみられます。

自分が留守にすると、夫のところには必ず女性が来ているとか、夫婦が別室で寝ているような場合、毎晩女性が来ているなどの妄想があります。記憶障害ではなく、このような妄想から認知症が始まることがあります。

それまでの実際の夫婦の関係あるいはアルコール摂取の既往とは必ずしも一致していないようです。家族に訴える程度であれば、大事になることは少ないかもしれません。しかし、疑われた夫なり妻を責めたり、手を上げたりなどの暴力がみられる場合には放置することはできません。認知症でなくても、愛している夫や妻の行動は気になるものですから、それが病気のために激しい症状となって現れているのかもしれません。

被害妄想と同様に、とにかく第三者に話を聞いてもらいましよう。「愛しているんですね」「それでも疑ったり、責めたりするのは辛いでしよう」など切ない気持ちを聞いてもらいましょう。

またデイサービスなどを利用して夫婦が物理的に離れていられる時間を増やすことをケアマネジャーに相談するのも一つの方法です。それでも変化がみられない時には薬物療法の可能性を検討するためにも専門医を受診することが必要です。

 

 

 

認知症の対応 あわせて知っておきたい


【認知症】認知症の人への対応 わけわからない!を解消しよう

高齢化社会に入り、世間的にも注目されつつある「認知症」
一般的な認知症の症状としては「物忘れ」ではないでしょうか。

 
しかし、実際に認知症の人の人を対応したことのある人は「えっなんでそんなことをするの?」と疑問に思うような行動を目の当りにする事もあったのではないでしょうか。

 

認知症の人への対応は、一般的な人間関係とは異なる対応が必要になってきます。
では、今後関わっていく可能性の高い「認知症」の人へどのように対応し関係を築いていけばよいのでしょうか。

 

認知症から来るさまざまな症状とその原因毎に対応を方法を述べています。

詳しくは「【認知症】認知症の人への対応 わけわからない!を解消しよう」で紹介しているのでチェックしていってください。


 

 

 

 

まとめ:現実を取り違える、事実と異なる事への対応方法



認知症では記憶の障害をはじめとしたさまざまな障害のために周囲の状況を正しく把握して適切な行動をとることが難しくなります。
現実を取り違えることも認知症の人にはしばしばみられます。現実にはない出来事・事柄を間違った判断で思いこんでしまい、訂正することができない状態を「妄想」といいます。

場合によっては、妄想の対象が一番身近で世話をして<れる人になる場合もあります。取り違え方もどちらかというと、被害的に受け止めてしまうことが多くみられるようです。
いろいろな障害を自分自身で客観的に理解できれば、どのような手助けが必要なのか周囲に伝えることができますが、自分自身では何となくしかわかっていないため、本人がどんな手助けを必要としているのかを察知することが必要になります。


現実を取り違える、事実と異なる事を言う等は認知症の周辺症状の内「妄想」と呼ばれる状態である事が多いです。
物盗られ妄想、被害妄想、嫉妬妄想といった具合に、その人の置かれている状況、今までの生活などから様々な妄想が出てくる事が多いです。

記憶そのものが消えてしまったり、思い出す事が出来ない記憶障害や他の状態とは異なり、ある現実を別の現実として受け止めてしまう事が多いです。
また、他の人に取り違えた現実をいって周囲の人を混乱させる事もあります。

このような場合は、予め周囲の人に認知症の症状があり、現在妄想の症状が強く出ているという事を予め伝えたり、医師に相談したり、介護サービスの利用を検討する事も必要になってくるでしょう。

何より、一人で抱え込まずに対応する事が一番のポイントとなってきます。

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