介護の精神と社会

介護という人々を支える仕事について精神面や法制度などを交え 解説しています。

介護のタブー 自立と依存で判断してはいけない

      2015/11/07


介護は介護職員としてはたらく上でも、身内や知り合いを介護する上でもタブーとされている事があります。
介護をしていると「どうしてこんなこともできないの?」という思いや「そんなこと自分で考えてよ」という思いを抱えてしまう人がいます。

 
もちろん、自分で出来る事はしてもらった方が良いし、何事も自分で出来るに越したことはありません。
しかし、それが出来ないから介護の力を必要としているわけです。

 
介護のタブーについて理解する上では、根本的な問題となりやすい「自立」と「依存」についての理解を深める事が重要です。
介護のタブーとして問題に上がりやすい「自立」と「依存」についてみていきましょう。

 

 
介護のタブー 自立と依存で判断してはいけない
 

 

自立とは何か?

自立とは何か?
自立支援とは何か 介護のお仕事の疑問を解く」の自立支援の解説の中でも説明させていただいています。

 
この記事を元に、自立とは?という事を説明すると自分のしたい事を、自己決定する事によって達成できているという事が一番重要なポイントとなります。

 
何から何まで自分で出来る事が望ましいのかもしれませんが、介護必要とする人は、介護を必要としている時点で何から何まで自分でやる事は難しいと言えるでしょう。

 
誰かの力を借りても、自分の望む生活を送ろうとする

 
誰かの意見ではなく、自分の意見・思いを持っていて、更に行動が出来る事が自立と言えるのではないでしょうか。

 

 

 

 

依存とは何か?

依存とは何か?
自立と依存は対立的な関係でよく表現されます。
自立に対し、依存とはなんなのでしょうか?

 
依存というのは、簡単に言うと他の人や物に愛情や指示、保護や援助を求めて、それが無いと生きてはいけない状態です。

 
自分で出来るよう前向きに取り組む姿勢が自立にあるのに対し、依存は対極的な姿勢であると言えるかもしれませんね。

 
誰かが居ないと自分は生きてはいけない、何かが無いと自分は滅びてしまうというような思考にも陥りやすい状態でもあります。
適切な表現ではないかもしれませんが、誰かに生かされていると本人が思い込み委縮している状態と言えます。

 

 

 

 

介護では自立か?依存か?で分けると相手に危険が迫る

介護では自立か?依存か?で分けると相手に危険が迫る
介護をする上で重要な事の一つとして「自立」か「依存」の二者択一的な判断をしてはならないことが挙げられます。
自立は確かに一人の人間として生きる上では重要な要素の一つであり、目指すべき事の一つではあります。

 
しかし、逆にそれにより「依存」はダメなものだと思い込む危険があります。

 

「自立は良い」「依存はダメ」ともし介護をする人が思っていた場合、その先にあるのは介護を必要とする人、あるいは介護サービス利用者の「孤独」です。

 
介護を必要とする人は、そもそもが介護の力に依存する事で生活を成り立たせようとしています。
それは介護を必要とする人本人の意思かもしれませんが、そうではなく他人が「介護を利用した方が良い」と意思決定をする場合もあります。

 
介護を必要とする人が、介護を提供する人に「自立しなさい!」という事を言われたら、どうしていいかわからず一人悩み、苦しむ可能性もあるのです。

 

 

 

 

人間は依存によって関係が成り立つ

人間は依存によって関係が成り立つ
自立と依存を深く理解する上では自分たちの私生活を考えてみましょう。
すこし思い返してみてみると、「介護」から目を離してみると私たち人間はお互いに依存し合って生活が成り立っています。

 
一番身近な依存関係は家族を思い浮かべる人が居るのではないでしょうか。

 
家族ははお互いに依存し合って生活をしています、離れていたとしてもその依存の関係はあなたに安心感を与えます。
子供の頃は親に依存し、成人しても離れていれば親兄弟と苦楽を分かち合い、大変な時には助け合う、結婚をすれば仕事と家事の分業を夫婦で行う人も居るでしょう。

 
人は身近な人に対し、依存の念を抱くのが普通なのです。
そして、依存の関係からしか安心感は生まれません。

 
依存する対症が人であっても物であっても安心感は依存の関係から生まれる物です。
その安心感は普段は気付かないものですが、人間であれば死別であったり、物であったら壊れる事で強く感じる事でしょう。

 
失くした対象が家族であれば、家族の誰かが亡くなった時、家族が存在するだけで安心感を得られていたのか、悲しみという形で感じる事になります。
かけがえのないものを失った悲しみは、これでもかと大きなストレスとなって押し寄せてきます。
しかし、その安心感にあなたは守られていたことは事実です。

 
話をもとに戻すと、要するに依存は悪ではないのです。
依存は私たちの人間が社会を作り上げていく中で自然と生まれる普通の関係であり、もちろん自立も然りなのです。
 

 

 

依存を嫌うとお互いに苦しみが待っている

依存を嫌うとお互いに苦しみが待っている
依存は人間が頭の良い動物として育んできた価値のある思いです。
依存と自立のバランスが保たれていたから、人間は社会を作り、社会のなかでそれぞれの仕事を持つようになったと言っても過言ではありません。

 
依存が出来ない状況というのは大きな苦しみを生むものです。
何から何まで自給自足という人が、昨今の日本では極端に少数派となった昨今、依存失くしてはそもそも生きてはいけないのです。

 
心の底から依存を嫌う人は常に孤独との戦いです。

 
介護をする人だって依存して生きているし、介護を必要とする人だって依存して生きています。
つまりは「依存」は悪ではないという事です。

 

 

 

 

介護で自立と依存で判断する事がタブーな理由

介護で自立と依存で判断する事がタブーな理由
自立と依存について理解することが出来たでしょうか?
では次に何故、介護で自立と依存で判断する事がタブーなのか?という事を説明していきます。

 
介護を必要とする人、介護を提供する人は、そもそもが依存の関係によって繋がれている状態であると言えます。

 
介護を必要とする人は介護を提供する人の、介護力によって生活を保ちます。
同様に介護を提供する人は、介護をする事によって、生きる糧を得たり、社会的な体裁を守る事で、介護を必要とする人に依存します。

 
介護を提供する人は、介護を必要とする人よりも、関係上で「上のような存在」と勘違いしやすいです。

  • 自分がお世話している
  • 自分が守っている。

 
このような思いを持っているので、上のような存在と間違えるんですね。

 
上のような存在になると介護を提供する人は「自立」と「依存」に目が行きがちです。

 
自分で出来る事が望ましい、でもこの人は私の力が無いと出来ない

 
ここに介護を提供する人は「自立」と「依存」の関係の狭間で悩み苦しむ事になるのです。
場合によっては迷い、間違いを起こしてしまう事もあるかもしれません。

 
介護を必要とする人の「自立」に目を向けると自己決定をして望む生活をする事でした。
望む生活をする上では介護という力に依存するのです。

 
一方、介護を提供する人は、介護を必要とする人に介護を提供するので、自分で決めて臨む生活を送ってはいるけど、依存しているから自立とはいえないんじゃないか?と疑問を持つのです。

 
ここで悩むと、本人が望んでいない介護を提供する事になってしまったり、介護をする人がすべて判断して決定してしまう、物足りない介護になってしまうのです。

 
これが、介護をする上で自立か依存かで判断してはいけない理由です。

 

 

 

 

相手が自分に依存していると感じとったらラッキー

相手が自分に依存していると感じとったらラッキー
自立か依存かで判断してはいけない理由についてお伝えいたしました。
では、相手は自分に依存していると感じたとき、自分はどう受け止めれば良いのでしょうか?

 

  • もし依存をしている事を感じる事が出来れば逆にそれはラッキーだと感じましょう。
  • そして依存をしている相手の事を受け入れましょう。
  • そして話をとことん聞くことです。

 

依存をしている相手に「とことん安心」してもらいましょう、そうするとあなたが地球上で生き続けている限りその方は安心し続けます。
依存をしてもらう事は、つまりは良好な人間関係を築く事が出来るチャンスなのです。

 

良好な人間関係を築く事が出来ると不思議と次のステップが見えてくる事が多いのです。

 
今までリハビリに消極的だった方が「じゃあやってみようか」といって突然、自らの意思で自分の生活を向上させようと努力したりします。
そのままリハビリが趣味になってしまう事もあります。

 
依存によって築かれた良好な関係が、めぐりめぐって介護を必要とする人本人の自立とつながっていく事が往々にしてあります。
「依存」は「自立」の始まりといってもよいでしょう。

 
あなたの理解と思いは自然と介護を必要とする人の生活をより良いものに変えていく力があるのです。

 

介護を提供する側と、介護を必要とする人がお互いに安心し信頼し合う関係は実に心地よい関係です。

 

「依存してもらうことは幸運」なのです、介護のすべては依存から始まります。
依存してきた相手に不安を覚えるより、依存してもらえた素晴らしい人間性を持つ自分に介護を提供する人は賞賛を贈ってください。

 

 

 

 

介護のタブー 自立と依存で判断してはいけない まとめ

介護のタブー 自立と依存で判断してはいけない まとめ
介護で言う自立とは、介護を必要とする人が自己決定によって、自分の望む生活を送ろうとする事でした。
一方、依存とは誰かが居ないと自分は生きてはいけないと委縮しているような状態でしたね。

 
介護では、介護を必要とする人は介護を提供する人の力に依存する事で生活を保つので、「自立か?」「依存か?」で判断する事はタブーです。
そもそも、人は人や物に対して依存する事で自分の生活を成り立たせるよう社会を作ってきたので自立しながらも依存するという事が、そもそも普通なので、どちらが善で悪などという事は存在しません。

 
もし、相手が自分に対し依存しているという事を感じたらラッキーだと感じてください。
依存から生じた人間関係はコミュニケーションの取り方、受け止め方によって良好な人間関係を築く事が出来ます。

 
良好な人間関係からは新たな道が開け、自立への道が開けたり、解決への道が開けたりするものです。
介護のすべては依存から成り立つという事を、頭の引き出しの中に入れておくだけて役に立ってくれるはずです。

 

 

 

 
最後までお読みいただきありがとうございました。

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