介護の精神と社会

介護という人々を支える仕事について精神面や法制度などを交え 解説しています。

介護のコツ 人を支える介護だからこその注意点

      2015/11/07


介護の仕事をしている人、さまざまな事情から親や知人の介護をしている人など、介護に関わる人は多くいます。
介護職員として働く人もそうですが、施設の空き待ちなどからデイサービスやショートステイなどを利用しつつも在宅で介護をしている人も少なくないと思います。

 
介護サービスの利用者であれ、家族であれ、親であれ、知人であれ介護をするという事は、要介護者となった人の生活を支える事になります。
介護職員であれば利用者との関係に悩み苦しむ事もあるでしょうし、在宅介護をする人も要介護者となった人との人間関係や自分の生活との兼ね合いなどから苦悩する人も少なくないでしょう。

 
介護をしていく上ではコツがあり、人を支える介護だからこその注意点がある事を知っておきましょう。
誰かの介護をする上でコツを知っておく事は自分を助ける方法を知る事にもなります。

 
介護のコツや人を支える介護だからこその注意点についてチェックしていってください。

 

 
介護のコツ 人を支える介護だからこその注意点

 

 

介護とはなにか?

介護とはなにか?
介護のコツを知る前に、まずは介護とはなにか?という事について原点に立ち返ってみましょう。
そもそも介護とは身体上、精神上などの理由から誰かの支援なしには生活する事が難しくなった人に対して、介護者が支援する事を言います。

 
身体上、精神上等の理由から誰かの支援なしに生活する事が難しくなった人の事を要介護者と言います。
要介護者に対し、生活上の課題を乗り越える事を支援していく人の事を介護者と言います。

 
介護とはなにか?という事を知る上で特にポイントとなるなのは、介護というのは介護者を支援する事でしょう。
要介護者となった人の介護をする上では、どの程度の介護が必要なのか?という事もポイントになるのですが、介護者として要介護者を支えるには「支援をする」という事を大前提とする必要があります。

 
生活の何から何まで世話をする事が介護だと言われた時代もありましたが、要介護者でもできるがあり、要介護者の出来る事は自分でする、出来ない事は要介護者が手伝ったり、お世話をするというのが現代の介護では特に重要です。

 
介護者にとって要介護者は大切な人でしょう。(場合によってはそうでない事もあるかもしれませんが・・・)
介護をする事はお世話をする事も多いですが、介護をし過ぎると相手のやる気や意欲がそがれてしまう事もあります。

 
極度にやる気や意欲がなくなってしまうと、人は廃用症候群と呼ばれるものにかかる事があります。
介護者が介護によって生活上のすべての事を世話してしまうと、要介護者の思考能力、身体能力、精神的な活動を著しく阻害する事に繋がり、結果として介護をする前よりも状態が悪くなってしまう事もあるのです。

 
介護とは要介護者が出来ない事を支援する事で、要介護者の足りない事を補っていくという姿勢が重要です。

 

 

 

 

介護は要介護者を支援する事 すべては本人次第という事を知ろう

介護は要介護者を支援する事 すべては本人次第という事を知ろう
介護者は要介護者が生活を送る上で不足している部分を補っていくという姿勢が大事である事を述べました。
つまり介護者は要介護者のすべてを担っているわけではなく、要介護者の生活上の課題となる、ほんの一握りを担っていると言えます。

 
要介護者を介護する上で、介護者は最終的に「すべては本人次第」という事を肝に銘じておく必要があります。
要介護者も一人の人間で意思や思考があります。

 
介護を必要としたとしても、その人にはその人の考えや好み、価値観があるのです。
介護をする上では、介護者と要介護者の間で価値観の違いから意見の衝突をする事があるでしょう。

 
介護者は介護をする視点で要介護者を見る為、介護がしやすいように行動してもらいたい、怪我をするから出来るだけ動いてほしくないといった介護のしやすさを重点的に置いた意見を持ちやすいです。

 
一方要介護者は介護が必要な事に後ろめたさを感じている反面、誰かの支えがないと生活が成り立たない事から、介護者に依存する事も考えられます。
人によっては介護者の負担とならない様、介護者と距離を置くため、家の中に居たくないと考える人も居るかもしれません。

 
介護者の持つ介護のしやすさに重点を置いた意見と、要介護者の持つ日常生活上当たり前のように抱く思いがぶつかる事で、介護者にとっての「介護がしにくい」といった状況を生み出すのです。

 
介護という事に重点を置いたとき、どちらも正しい意見を持っているとはいえるでしょう。
しかし、介護とは介護が必要となった要介護者が自分自身で自分の生活を決定していく事が大前提です。

 
介護を利用する人が自分の事を自分で決め、その協力者として介護者が居るという事を理解すれば、介護とは要介護者の支援者、もとい協力者と言えます。
協力者はあくまで協力者なので本人の意思を無視した決定はできません。

 
介護を見たとき、すべては介護を必要とする、その人次第という事を知りましょう。

 

 

 

 

介護がうまくいくコツ 介護の精神について掘り下げる

介護がうまくいくコツ 介護の精神について掘り下げる
介護がうまくいった、介護がうまくいなかなった。
介護の成功・失敗は人によって成功に対する価値観や失敗に対する思いが違う事と思います。

 
しかし、介護がうまくいった!と感じる瞬間というのは、介護者から「ありがとう」という感謝の言葉が出たときや、介護を必要とする周囲の人から「アナタが居て良かった」という自分の力が必要とされている事を認識した時なのではないでしょうか?

 
逆に「こんなはずじゃ・・・」という要介護者の残念な気持ちや、「もうやめてくれ!」というような否定される行動をとられた時、介護者となった人は失敗を感じる事が多いはずです。

 
このように成功や失敗を意識した時、介護がうまくいくコツというのは無いのでしょうか?

 
介護の仕事をしたり、家族の介護をしたりする人の介護がうまくいくコツというのは何も特別な事ではないのです。
人間関係を作っていくうえで重要な「相手の気持ちを考える事」が介護がうまくいくコツなのです。

 
介護で相手の気持ちを考える事というのを言い換えるとするならば、相手の尊厳を尊重するという事とも言えます。

 
古い介護の現場では利用者の尊厳というのはあってないようなものでした。介護の仕事の現場では、その昔、尊厳をないがしろにした介護では行われてきた現実があります。

 
そして、今もなおそういった尊厳をないがしろにした時代遅れの現場がある事も往々にしてあるのです。

 
しかし、現代の介護の主軸は要介護者の人権や尊厳を守った介護が主軸となってきています。

 
では何故、相手の気持ちを考えた介護がうまくいくコツなのかというと、人間であれば当たり前の行動が介護でも起こるからです。

 
自分にとって価値のあるサービスを利用しようと思った場合、人は相手の言う事をスムーズに受け入れ、協力的な姿勢を見せます。
逆に自分にとって害のあるサービスを押し売りされた場合、相手のいう事には聞く耳も持たず、相手の行動に対して抵抗をします。

 
介護であっても自分にとって良いと思う介護には協力的であり、逆に害があると判断されれば抵抗されるのです。

 
要介護者が自分にとって良いと思う介護というのが、自分の事を肯定してくれる尊厳や人権を意識した介護なのです。
これこそが介護がうまくいくコツの根底にある物なのです。

 

 

 

 

介護のコツ 要介護者の事を傷付ける介護になっていないか?

介護のコツ 要介護者の事を傷付ける介護になっていないか?
「利用者の方の尊厳を尊重する」事が介護のコツの根底にある物です。
要介護者の事をちゃんと尊重できているのか?という事を自分で確認できるようになる事は介護のコツでは特に重要な事になります。

 
要介護者の事を尊重するという事は、簡単に言うなら要介護者の事を大事にするとも言いかえる事が出来ます。

 
例えば、要介護者の人権や尊厳を尊重できていないような行いの例としては以下のような物が挙げられます。

  • 尊厳を傷つけるような言葉を相手にいう
  • 無視
  • 業務優先

 
一つ一つ例を見ていきます。

 

 

 

尊厳を傷つけるような言葉を相手に言う

尊厳を傷つけるような言葉を相手に言う
尊厳を傷つけるような言葉にはいくつか種類がありますが、代表的な物をここでは上げようと思います。

  • 高齢者の方に対して「○○ちゃん」と本人が嫌がっている事も気にせずに子供のような扱いをする
  • 「なにしているの!」と失敗したことを攻め立てる
  • 「もう食べたでしょ!」と怒る

 
あくまで介護の仕事をする人は「支援者」であり、時には人生の大先輩である「高齢の方」を支援する事もあります。
そんな相手に対して「○○ちゃん」といった子供のような扱いをする事はとても失礼に当たる事が多いのです。

 
また、支援をするにあたって「今までの生活を取り戻そう」としたり「今よりもう少しよい生活を送りたい」といった思いがあれば人は「挑戦」します。
挑戦の結果「失敗」する事だってあるでしょう。それに対して攻め立てるという事は相手の挑戦心を削いでしまう事もあります。

 
認知症が進んでしまった方は、ごはんを食べたことを忘れてしまう事があります。

 
ご飯を食べた事を忘れた人が「ご飯を食べていない」と思う事は逆に言えば自然な事なのです。
それに対して怒ってしまうのは「相手の感覚」というのを尊重できていない事に繋がるのです。

 

 

 

無視

無視
介護者があまりの多忙さに押しつぶされてしまいそうな時には”無視”をしてしまう事もあるでしょう。
特に相手の事が苦手だからといった理由で”無視”をしてしまう人もいます。

 
要介護者の方と、介護者の間で避けたくなるような軋轢があるのであればチームで考え、行動・対処していくことが重要となります。
家族の介護の場合であれば兄弟であったり、周囲の人の協力を得て、自分に少しでも余裕を作る必要もあります。

 
要介護者の人を尊重するのであれば「無視」するのではなく「仲間に相談して対応する」事が重要です。
単純に「無視」をしたというのは「介護を放棄した」ととられてしまい、要介護者にとっても介護者にとっても不利益となってしまう事でしょう。

 
要介護者の事を尊重できていないばかりか、自分の仕事に対しての尊重も失われかねない状況になってしまうのです。

 

 

 

業務優先の視点

業務優先の視点
介護の現場であれば業務優先の視点というのも要介護者の尊厳を無視した行動になってしまう事が多いでしょう。
現代の介護の現場では特に問題となっている部分の一つです。

  • 何を食べているのかわからないくらいに、全部混ぜて利用者の方に無理に食べさせる
  • 食べ終わった食器を次々と片付ける
  • 利用者の方が何かを訴えかけようとすると、業務優先になり「後で」と受け答えする

 
食事介助に際して、何を食べているのかわからないくらいに全部混ぜるというのは「食べる」という行為については確かに時間が短縮されるかもしれません。
しかし、人間が食べるような食事ではありませんよね。昔は「介護丼」等の名前で呼ばれていて今では問題な行動の一つです。

 
食器というのは普通、食事が終わったら片付ける物です。終わったものから片付ければ確かに作業効率としては良いのかもしれませんが、されている本人は「食事をせかされている」ような感覚になります。サービスとしては相手の事を考えた態度ではありませんよね。

 
介護のサービスを利用する人は基本的に「何か支援が必要」な場面が非常に多いです。しかし業務を優先させるあまりそのことを忘れている方が多いです。

 
もし、トイレに行きたくてしょうがないのに「トイレに行かせてください!」といったら「あとでね」なんていわれてそのまま許可が下りなかったらゾッとしますよね。

 
介護のコツというのは「自分がそうされたら」と思い考え、感じる事がとても重要なのです。

 

 
最後までお読みいただきありがとうございました。

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