介護の精神と社会

介護という人々を支える仕事について精神面や法制度などを交え 解説しています。

介護の本音 介護が必要な人は何を思うのか

      2015/11/07


介護の本音では、介護をする人や介護職員の本音が注目を集めていますよね。
同様に介護を必要とする人、要介護者の本音という物もあります。

介護をする人の本音では、キツイや自由がない等の本音が多いと思いますが、介護を必要とする人にはどんな本音が多いのでしょうか?
今回は「介護を必要とする人のホンネ」について書きたいと思います。

 

 
介護の本音 介護が必要な人は何を思うのか
 

 

介護の本音 本当は自分でやりたい!

介護の本音 本当は自分でやりたい! (2)
介護を必要とする人の場合は「できる事を自分の意思でやらない」のではなく「したいという意思があるけど、できない」という事が大半です。

 

その人の「意思」としては、自分で料理がしたい、自分でトイレに行きたい、自分で買い物に行きたい、自由に外を歩きたい。こう思っているのです。
しかし、老いや病気により体の自由が効かない、手が動かない、トイレに着くまで止めておくことができない。
この際に「どうしようもなくなって」介護を利用する事が大半です。

 
今介護を必要としている高齢の方を中心に見てみると特に「自分を律する事」が善とされてきた世の中を過ごしてきた方が大半です。
もちろん「誰かの手を借りないと生活できない」という生活に戸惑いを感じるわけです。

 

 

 

 

介護の本音 何をすればいいかわからないよ

介護の本音 何をすればいいかわからないよ
介護を必要とする要介護者の中には、全身麻痺など一人で動く事が困難なケースがあります。
介護をする人は一生懸命、介護してくれるので文句はない。でも正直何をすればいいかわからないよというのが本音みたいです。

 
全身麻痺で体が動かないとしても、人間が持つ感覚である「暇」は感じるので、体を動かす事が出来ないと何もできないけど、何をすればいいのかわからないという本音を持つのです。

 
実はこの本音は結構危険で、うつ病を発症する原因にもなります。
ラジオをつけたり、車いすに乗ってテレビを見たり、一緒に散歩に出かけて気分転換をするなどの工夫によって、生きる楽しみを保つことが重要です。

 

 

 

 

介護の本音 もう少し見てくれてもいいじゃないか!

介護の本音 もう少し見てくれてもいいじゃないか!
介護を必要としながらも、そこまで介護が必要ではないという人がいます。

 
心不全など、何かあった時は誰かが傍にいないと危険だけれど、普段の生活では自立した行動ととれる要介護者等がこれに当たります。
特に施設に入所している人の介護への本音はもう少し見てくれてもいいじゃないか!という思いを持つことが多いです。

 
表向きは威厳たっぷりの高齢の男性であっても、よくよく本音を聞いてみるとこのような思いを抱える事が多いのです。
重介護が必要な人などが傍に居たりすると、この本音の傾向が強くなります。

 
日々のコミュニケーションの他、その人が元気でいる事に感謝の意を伝えたりすることも、このような不満的な本音を解消する手助けになるかもしれませんね。

 

 

 

 

介護の本音 アナタはだあれ?

介護の本音 アナタはだあれ?
初対面なら何も不思議な本音ではありません。しかし、認知症を持っている人は日々の介護を受ける上であなたはだあれ?という本音を抱える事が日常的にあります。

 
一年近く顔を合わせ、毎日介護をしている職員ですらも「あなた今日が初めてね!」なんて事を言われる事も多くあります。
今日が初めてね!言われる職員も様々な本音を持っている事でしょうが、要介護者の本音としては常に「あなたはだあれ?」という所に注目しましょう。

 
認知症の人は脳の記憶能力の低下や、記憶の保持が出来なくなる現象が現れるので、常に初対面、初めての場所、初めてされる行為という不安感にさいなまれているのです。

 
介護の本音「アナタはだあれ?」には、相手のその時その時の不安感も表れているとも言えますね。

 

 

 

 

介護の本音 よくわからん!

介護の本音 よくわからん!
認知症でなくても、高齢の方で介護を必要とする人は記憶の障害が起こりやすくなってきます。
若い人と比べ、脳のはたらきが低下する為、記憶がズッポリ抜け落ちてしまう事があるのです。

 
また、脳の働きに衰えが無かったとしても、老眼や難聴等、五感の低下などもあります。

 
脳の記憶の低下や、五感の低下が始まっている人に、物を見せたり、何かを説明しても、その場は話が成り立ったとしても、本音では「よくわからん!」という事を思っている人が多いです。

 
介護サービスを利用する人だけでなく、介護サービスを利用していない高齢の方であっても、例えば市役所や銀行の受付で「よくわからん!」という本音を持っているのです。

 

 

 

 

介護の本音 世話してくれる人は先生

介護の本音 世話してくれる人は先生
高齢の方で、認知症がかなり進行している人に多いです。
どういうわけか、世話してくれる人全員が「先生」と呼ばれることが多いのです。

 
私は先生ではありませんよ?と言ってもその人の価値観のなかでは先生と呼ばれるのです。
会話もままならない程の認知症の人も「いつもお世話してくれてありがとう先生」という事があります。

 
良い介護が出来たわけでもない、それでも自分を思い世話してくれる人の存在はわかっていただけるようです。
正しく会話の中で確認できたわけではありませんが、その人の行動や時折見せる単語をつなぎ合わせると「世話してくれる人は先生」という本音を持っています。

 

 

 

 

介護の本音 寒い!とにかく寒い!

介護の本音 寒い!とにかく寒い!
高齢の方、全般の本音です。
認知症があるわけでもなく、体を日常的に動かしている人であっても寒い!と感じる事が多いです。
介護施設、もしくは自宅などでエアコンなどの空調、扇風機、酷い人だと真夏に吹く風ですらも「寒い!」というのが本音だそうです。

 
特に特別養護老人ホームに入所している人、老健などに入所している人は介護の本音として「寒い!とにかく寒い!」という思いを持っているそうです。
夏でも上着やカーディガンを着て過ごす人も居ます。

 
高齢者の方の体は熱しやすく冷めやすいので、最近の日本の熱帯気候では体温調節が出来ず、場合によっては命の危険もあるため空調での調整が必要な事が多くあります。

 
でも、本音では「寒い!寒すぎる!」という事なのですね。

 

 

 

 

介護の本音 私のアンコを返してくれ!

介護の本音 私のアンコを返してくれ!
認知症を持っている人の中には、自分が排泄したものを手に取って、場合によっては口にしてしまう事があるのです。
(お食事中の人がこの記事を読んでいた場合は申し訳ありません。)

 
介護をする人にとって、正気の沙汰とは思えない瞬間で、「なんでやねん!!」と突っ込みたくなる瞬間かもしれません。

 
自分が排せつしたものを介護者によって取り上げられた人は、何としてもそれを取り返そうとする人が多いのです。
さりげなく、同じような境遇になった時に本音を聞いてみました。

 
私:「俺にそれを全部くれないかな?」
要介護者:「ダメよ、これは私が後で大切に食べるんだから」
私:「それは何?」
要介護者:「これはアンコよ」

 
昔は甘いものがなく、アンコ等の甘味がとても高級な物だったのです。
その人には自分の排せつしたものがアンコに見えていたのですね。

 
特に現代の高齢者で認知症に多いのはこういった、甘い物が無かった戦時中を経験してきたからなのかもしれませんね。
つまりは、排泄物を取り上げられた人は「私のアンコ返してくれ!」という本音を持っているという事です。
 

 

 

 

介護の本音 あの人を生き返らせて…

介護の本音 あの人を生き返らせて…
高齢の要介護者に多いです。
介護をする人に対して「旦那を生き返らせてくれ」「妻を呼んでくれ」と亡くなった方をこの場に読んでほしいという依頼が多いのです。

 
これは親子介護の場合でも時折みられるようです。
認知症の人に多いことはもちろん、認知症を持っていない人でもこのような要望を言ってくることがあります。

 
その人の話を傾聴していると、死を受け入れられないという思いを抱えているよりも「寂しい」「孤独だ」という本音がポロポロと出てくる事があるのです。
傾聴とはその人の話を全て肯定して、何を話しても受け入れるというコミュニケーション技法です。

 
誰よりも、その人を孤独から救ってきた人、つまり旦那や妻を生き返らせたり、読んでほしいというのは、計り知れない孤独を本音として持っているという事でしょう。

 

 

 

 

介護の本音 死んだ方がマシだった・・・(失われた威厳と悲しみ)

介護の本音 死んだ方がマシだった・・・(失われた威厳と悲しみ)
介護への本音では悲しい本音を持つ要介護の人がいました。
その人は、介護されるくらいなら死んだ方がマシだったという物です。

 
ある所に90歳を超えるおじい様がいらっしゃいました。
その方はとてもタクマシイ髭を蓄えられていて、私のような若輩者から見ても「素晴らしい」と感じるほどタクマシく立派でした。

 

言葉や考えられている事も実に聡明で、話していただく話はいつも「ほぉ~!そうなんだ!」とついメモを取りたくなるような話ばかりでした。

 
しかし、自宅で過ごしている時に、おじい様は転倒してしまい太ももの付け根を骨折してしまったのです。(大腿部骨折)
高齢の方の転倒は危険なので、3日程入院し検査後退院しました。

 
退院の知らせを聞いて、私はそのおじい様の家にお見舞いに行ったとき、あれほどまでに立派だった髭がおじい様の顔からなくなっていました。
どことなく顔色も悪いご様子です。

 

さすがに私は驚き「どうかされたのですか?」と聞きました。

 

「私は…おむつを履かされたんだ…。おむつ野郎に何が髭だよ…死んだ方がマシだ…」
おじい様は今までに見たことない悲しそうな表情でうつむき加減でこう答えました。

 

介護の手によって、生き生きしていたおじい様の威厳が失われたと悟りました。

 

おじい様は高齢により足が悪くなっていて、大腿部骨折もしましたが、動けないほどではありませんでした。
夜中トイレに行く際は這うようにしてトイレに行っていたようですが、ある日からトイレに辿り着くことができなくなったそうです。

 

見かねた家族の方が、おじい様におむつを強制的に履かせたのです。

 

おじい様は私とそのお話をした日を境に認知症が急激に進み、声をかけても私だとわからない程になりました。
私の事がわからなくなってから2か月たった後、食べ物を食べる事もせず飲み物を飲むこともせず、息を引き取られました。

 
その人が失われていく記憶の中でどんな本音を持っていたのか、正しい事は分かりかねます。
しかし、その人は一生をかけて守ってきた命よりも大事だった威厳を奪われた事は、関わってきた私は感じました

 
あの辛そうな顔、本人としてはきっとみじめな思いをし私に最後に打ち明けたのでしょう。
認知症によって日々変わり行く人格、それらをずっと見ていると「死んだ方がマシだった」最後に言ったことが彼の全身全霊の本音だったのでしょう。

 

 

 

 

介護の本音 介護が必要な人は何を思うのか まとめ

介護の本音 介護が必要な人は何を思うのか まとめ
介護の本音として、介護が必要な人は人によって色々な事を想っていますよね。
介護をする人が、色々な思いを持つように、介護を必要とする人が持つ本音も実に多種多様です。

 
ここで紹介した本音は今まで聞いてきた本音のほんの一部ですが、多くの人が抱える事が多い本音でもあります。
認知症が引き起こす特有の本音から、身体的な低下や、その人が持つ障害から介護に求める物も違えば、人それぞれしたい事や好みも違います。

 
高齢の方であれば、介護を必要としたとき人生の終盤に差し掛かっている事もあるため、相手の本音を聴きつつ、その人が望む最後のひと時を過ごしてもらう事も介護をしていくのであれば重要なポイントとなっていくかもしれませんね。

 
介護は人を生かす事も殺す事もできる、とても力のある行いです。
その測り知れなく強い力を生かすも殺すも介護者である人の相手への理解と聴く力にかかっているのかもしれません。
 

 
最後までお読みいただきありがとうございました。
またお越しくださいませ。

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