介護の精神と社会

介護という人々を支える仕事について精神面や法制度などを交え 解説しています。

介護の基本 自立支援の難しいところと解決策

      2015/11/07


自立支援は現代の日本における介護の基本です。
日本は超高齢社会に突入し、超高齢社会を乗り切るための方法を模索している段階です。

 
超高齢社会を自立支援による高齢者の自立と、介護予防によって高齢者が要介護者にならない為の取り組みによって乗り切っていこうというのが日本の介護における今日の基本方針です。

 
実際に介護現場で仕事をしている介護職員であれば、高齢者の自立と、介護予防がいかに必要かが利用者の状況を見て理解できるかと思います。
まだ、理解できていない人であっても、自立支援と介護予防がいかに重要か、その内容だけでも知っておく必要があると思います。

 
ただし、自立支援においても、介護予防においても万能ではなく、人間関係や介護施設、家族関係等から支援が難しい場面も少なくはありません。
介護の基本として自立支援を行っていくうえで、自立支援の難しいところと解決策についてみていきましょう。

 

 
介護の基本 自立支援の難しいところと解決策
 

 

介護の基本である自立支援とは何か?

介護の基本である自立支援とは何か?
自立支援とは、介護者による介護によって、介護サービスの利用者や、要介護者の精神的な機能や、身体的な機能を維持を図るとともに、自分らしい生活を送ってもらう事です。

自分らしい生活を送るには人間が必要としている排泄や食事の他にも、本人がどのような日常を送りたいのか、最後を遂げたいのかなども含まれます。

 
自立支援の基本的な考え方では、何から何まで介護者がお世話するのではなく、自分で出来る事は自分で行ってもらいつつ、要介護者が出来ないところを介護者が支援していくという考え方です。

自立支援で重要な事は要介護者本人がどうなりたいのか、要介護者が何を望んでいるかという本人のニーズを正しく理解し、その人がより自立した生活を送る上では何を介護すべきか?という事を介護者が考えていく事が重要です。

自立支援とは何か?という事については「自立支援とは何か 介護のお仕事の疑問を解く」で全体像などをまとめていますので、参考にしてください。

 

 

 

 

介護の基本である自立支援は、要介護者がしたい事を支援する事が基本

介護の基本である自立支援は、要介護者がしたい事を支援する事が基本
「自立支援」を狭い意味でとらえると自力では難しい部分を、介護の力で、その人らしい生活を支える事と言えます。
他の言い方をするなら「要介護者がしたいことを支援する事」とも言えますね。

 
要介護者がしたい事を支援する事というと、何から何までお世話する事が介護ととらえられる可能性もありますが、根本的な考えは違います。
もっとわかり易く自立支援を言うのであれば要介護者の力だけでは不足していることを介護で補うという事です。

 
要介護者というのは精神的な面や身体的な面で、日常的な生活を送る事が難しくなっています。
要介護者の日常的な生活を送る事が難しくなっている部分で、本人が介護の力を必要としている事を介護者は把握する事を始めにする必要があります。

 
要介護者本人が、何かがしたい!と思っている事を尊重し、それに向けて両者が共に協力していく事が自立支援では重要です。

 

 

 

 

自立支援は要介護者がどうしてもやらなければならない事を支援する事も必要

自立支援は要介護者がどうしてもやらなければならない事を支援する事も必要
では自立支援で言う自立とはどういう事なのでしょうか?
自立支援で言う自立というのは自分のしたいことを、自己決定する事で達成する事ができている状態と言えます。

 
自立と対極的な存在として依存という考え方もありますが、自立か?依存か?だけで要介護者を判断する事は介護で大切な要介護者を支援していくという考えに矛盾がでて混乱するので考えすぎは禁物です。
自立は?依存か?という事で要介護者を判断する事の注意点は「介護のタブー 自立と依存で判断してはいけない」で紹介しているので、参考にしてください。

 
自立支援でいう自立をもっと広い意味でとらえてみると自分のしたい事に対して行う事を支援するだけが自立支援ではありません。
介護者が自立支援をしていく上では、要介護者がどうしてもやらなければならない事に対する支援に対しても行っていく必要があるのです。

 
要介護者がどうしてもやらなければならない事を支援していく事が、自立支援での一番代表的な難しいところと言えます。

 

 

 

 

自立支援で難しい要介護者の、どうしてもやらなければならない事

自立支援で難しい要介護者の、どうしてもやらなければならない事
どうしてもやらなければならない事というのは、決して要介護者本人がやりたい事ではない可能性がある事を介護者は理解する事がまずは第一です。
どうしてもやらなければならない、でも今の自分ではどうしてもできないという事を支援する事が自立支援では難しいのです。

どうしてもやらなければならなこととしては次のような物が挙げられます。

  • 食事
  • 排泄
  • 一定の社会ルールを守る事

 

 

 

自立支援で要介護者に必要な食事

自立支援で要介護者に必要な食事
人であれば自立支援等の大義名分がなくとも、食事をとる事は必要です。
しかし、高齢の方や性疾患を患っているかた、身体的な障害を抱える方や、食事を口からとる事が出来ない方など介護を利用する人は様々です。

 
食事は生命を維持する上では必要不可欠です。食事と同様に水分補給をする必要もありますよね。
介護を必要としている人の中には、食事を要介護者本人の意思では全く摂取する事が出来ない人が居るのです。

 
本人が望む生活では食事を摂りたくないという要望であったとしても、あまりに慢性的に食事を摂らなかったり、水分補給が行われなくなると栄養失調や脱水などで命を落とす危険もあります。

 
食事を普通に摂る事が出来る体を持っている人でも、食事を摂る事に消極的な人も居るのです。

 
このような場合は、本人の意思に沿ったケアを行うと、本人は命を落としかねません。
もし、要介護者が食事をとりたくないと思っていたり、食事が困難だと感じているとしたら、その原因を探り、解決していく必要があります。

 
もしかすると、以前食事をこぼして周りに迷惑をかけた、失敗したと感じて自尊心を傷つけられたというような精神的な原因かもしれません。
はたまた、飲み込む力が弱まっているため、むせ込みが怖くて食事がしたくないのかもしれません。

 
そもそも、食事がまずいなんて事もありまえます。
このように、自立支援を行っている上では、相手の心理的な面、身体的な面で見つつ、さまざまな原因を幅広く考えていく必要があるのです。

 
さまざまな要因を幅広く考えていく必要がある点では、自立支援の難しいところと言える必要があるかもしれません。

 

 

 

 

自立支援で要介護者に必要な排泄

自立支援で要介護者に必要な排泄
人であれば、自立支援という大義名分を持たなかったとしても、もちろん排泄は必要です。
しかし、脳に障害を持つ人や認知症、高齢の人など、便意や尿意などの「トイレに行きたい!」という感覚が弱まっている人が居るのです。

 
中には迷惑を掛けたくないからという事で、トイレを我慢してしまう人も居るでしょう。

 
どれをとったとしても、排泄を十分に行えていない不健康な状態であったり、場合によっては失禁などで漏らしてしまい要介護者本人が傷つく事が想定されるのです。

 
本人が「トイレに行きたい!」という訴えをしなかったとしても、介護者は要介護者の排泄を支援していく必要があります。
認知機能に問題がない人であれば、何時から何時までの間にトイレに行くリズムがあるという事を介護者が観察しておき、介護者が「何時にトイレに行くのが良いですよ」という事を伝えれば100%ではないにしろ、とても効果的です。

 
認知機能に問題があり、排泄が十分にできず失禁してしまう人であっても、同様に介護者がリズムを観察しておき、時間になったらトイレに誘導するというだけで失禁の割合は8割は軽減できるでしょう。

 
排泄の場面は、とてもデリケートな場面なので、どのような言葉掛けをするかもとても重要です。
小声でトイレに行きましょうと言えば行く人も居れば、一緒に来てほしいところがあるんですと言わないとトイレに行かない人など千差万別です。

 
要介護者本人が「トイレに行きたい!」と言わなかったとしても、介護者が自立支援として要介護者がしなければならない事を支援する上で、排泄の支援も重要なのです。

 

 

 

自立支援で要介護者に必要な一定の社会ルールを守る事

自立支援で要介護者に必要な一定の社会ルールを守る事
人として社会のなかで日常を送っていく上では一定の社会ルールを守る事ももちろん必要な事です。
しかし、人は社会ルールを守りたくて守っているわけではありませんよね?中にはルールとして決まっているから致し方なく守っている物もあるはずです。

 
同様に要介護者が一定の最低限の社会ルールを守る事を支援する事も重要です。
特に認知症高齢者の中に、社会的ルールを守る事が困難になる人が居るのです。

 
人のルールを守る事を意識する上では脳の前頭葉という部分がとても重要な役割をつかさどっています。
認知症の進行によって脳の前頭葉が委縮する事によって、社会的ルールを理解する事、守る事が困難になる事があります。

 
物を買うのにお金が必要な事や、人に暴力を振るってはいけない事、他人の家に入らない事や、道路に飛び出さない事等々、社会生活を送る上で必要な判断をする事が困難になります。

 
ピック病と呼ばれる症状が出るのも、脳の前頭葉が委縮する事が原因で起こります。

 
このように、要介護者本人の意思ではルールを守りたいとは思っていない場面であっても、社会生活を送る上で介護者は支援を行っていく必要があるのです。
要介護者本人が望む生活と、社会ルールを守らなければならない事というのは、矛盾しているかもしれませんね。

 

 

 

自立支援で要介護者に必要なことについて

自立支援で要介護者に必要なことについて
自立支援で要介護者に必要なことはとてもデリケートでプライバシーが必要な課題が多くあります。
食事であっても排泄であっても、社会ルールを守る事であっても、要介護者本人の事を考えればデリケートな問題が多くあるのです。

要介護者に必要な事を支援する時、介護者や介護職員はどのような事に配慮するべきなのでしょうか?

 

例えば

  • 食事中、一度口に入れた物を何かしらの事情で出すときは他人に不快感を与えないよう配慮する
  • 排泄物を他人の目につかないようにする
  • 要介護者と周りの人の関係を維持できるよう要介護者の社会生活をサポートする

 
人と人の関係を築いたり維持したりする上では最低限の礼儀やマナーがありますよね?

人と人の関係を築く上で最低限の礼儀・マナーであり、それを欠いた行為というのは要介護者や利用者、周りの人のの心を非常に傷つけます。

  • 自分がそれをされたらどう思うか?
  • 自分が必要な事が理解してもらえなかったらどう思うか?
  • 必要な事が出来ずに周りに迷惑をかけたと思ってしまったらどうすればいいのか?

 
このように、自分目線ではなく相手目線で見てみると支援についてどう考えていけばよいか見えてくるでしょう。

 

 

 

 

要介護者、利用者のプライバシーを考える必要がある

要介護者、利用者のプライバシーを考える必要がある
支援が必要な人であっても、自分が人に見せたくない部分を人に見られたり、知られたくないことを知られたりすることは、プライバシーの侵害となり、尊厳を損なう事になります。
もし、相手が「介護をする人」であったとしてもその事に変わりはありません。

 

いくら国家を守る「警察」が相手であったとしても、何もかも身の内を話すなんて事誰もしたくないと思います。むしろ「知られたくない」と思うのが普通でしょう。

 

しかし、介護の力を必要とする人の中には「自分にとって大事な事」や「プライバシーの保持」を自分一人では行えない方もいらっしゃいます。
そうなった場合は、「どうしても必要だから」という大義名分の元、プライバシーの枠を超える必要もあるのです。

 

「家族」の間で済む話であればまだよいでしょうが、昨今なかなかそうはいかない状況が続いております。
そのような状況の場合、プライバシーを「介護職」という「他人」に知らせた上で、介護や支援を受けなければならないという矛盾した関係性の中で生活をしていかなければなりません。

 

「介護を受ける人」はこの関係性の上に困惑している事もありますので「介護をする人」は配慮を怠らない事が、このようなデリケートな関係では重要です。

 

相手に見せたくない、知られたくない事を知らせながら「介護」を受けている事を十分に理解する事で、自然とこれらについて考える事が出来るのではないでしょうか。

 

 

 

 

介護の基本 自立支援の難しいところと解決策 まとめ

介護の基本 自立支援の難しいところと解決策 まとめ
超高齢社会における高齢者介護への対応は、自立支援と介護予防という対策があります。
しかし、自立支援と介護予防も万能ではなく、支援がうまくいかなかったり色々な要因が重なって乗り越えるのが困難な課題も多くあります。

 
介護の自立支援とは、要介護者や利用者が自力では難しい部分を介護者の介護によって、その人らしい生活を支える事です。
自立支援では何から何までお世話するのではなく、要介護者の力だけでは不足している事を介護で補っていく事が大切です。

 
自立支援で言う自立とは、要介護者のしたいことを自己決定する事で達成する事が出来ている状態の事を言います。
自立支援をもっと広い目線で見てみると、要介護者がしたい事の他にも、どうしてもやらなければならない事を支援する事も含まれるのです。

 
自立支援の介護の上では、どうしてもやらなければならない事を支援する事が難しい部分です。
食事、排せつ、一定の社会ルールを守ることなど、要介護者の身体的、精神的な部分で行う事が困難な部分を介護者は支援していく必要があります。

 
これら、要介護者もやらなければならない事を見てみると、とてもデリケートな内容が多く、プライバシーを守った行動や言動を介護者は求められます。
介護者や介護職員は支援を受ける要介護者がどのような思いをするか?という視点をもとに要介護者を支援していく必要があるでしょう。

 
要介護者が支援が必要であったとしても、自分が見せたくない体の部分、生活などあります。
例え、見せる事が仕方ない場面であったとしても嫌な物は嫌なのです。

 
介護者にとって、このように要介護者のプライバシーに配慮し、思いを汲んだ行動をとる事が人として基本的な行動であったとしても、難しいところですね。

 
介護者と要介護者は非常にデリケートな関係の上で双方の生活が成り立っている事を意識する事は今後の介護で重要です。

 

 
最後までお読みいただきありがとうございました。

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